こんにちは。
Air Raidプレイブックもいよいよ今回が最後となります。
最後はメインディッシュのパスコンセプトです。3歩パス6種類、5歩パス6種類、スクリーン3種類を用意しました。これらを様々なフォーメーションやモーションを使って攻めるのがAir Raidの醍醐味です。
最重要な5歩パスは、いくつかバリエーションもつくっていますので参考にしてください。
Open Grassとは
「Open Grassとは何か」。
オフェンスは最大5人のレシーバーをダウンフィールドに送り込むことが可能です。対してディフェンスは5-8人をカバレッジに割くことができます。人数では必ず負ける計算となります。
この数的不利を乗り越えるため、オフェンスはフィールドを最大に生かす必要があります。このため、Air Raidオフェンスはレシーバーを最大限にスプレッドさせ、ディフェンスをストレッチさせます。Vertical (縦)、Horizontal (横)にディフェンスを広げることで、強制的にレシーバーをオープンにさせることがOpen Grassだと考えています。
Air Raidではディフェンスの構造的弱点を突くルールが多くあります。レシーバーに与えられるオプションやルートコンビネーションは、すべてOpen Grassを見つけるために設定されています。Zoneディフェンスに対して対象となるディフェンダーをストレッチさせるルートコンビネーションでありながら、M/Mでも必ずセパレーションをつくれることがAir Raidのパスオフェンスの強みです。
プレイの数は少ないですが、それぞれがどのカバレッジに対しても勝てるよう、合理的にデザインされています。デザインを理解し、確実に遂行することこそ「Open Grassを見つける」ということです。
Screen
41/51 Now Screen
いわゆるNowスクリーン。ブロッキングの対象はディフェンスの2線目を外から内に向かって1, 2, 3と数えていきます。ポジションでブロックの対象を考えず位置関係で考えてください。
キャリアとなるWRはスナップ後すぐにQBへ振り返ってください。
42/52 Slip Screen
こちらはSlip Screenです。レシーバー陣はパスコースを走ることで、DBを引き離してください。
ブロッカーはC, Gがメインです。DTを一度ブロックして抜かれたフリをしてから2線目へブロックに向かうこと。
Fはパスプロのそぶりを見せてから振り向く。
45/55 Tunnel Screen
こちらはTunnel Screen。#1と#2をブロックするOLはKick Outのようにディフェンダーを外へはじき出してください。その内側は前に押し込むイメージで。
WRは外に逃げない。フィールドの真ん中をくぐり抜けるイメージで。
6 Series (3 Step Pass)
66 Hitch Outside
フィールドを4分割して攻めるタイプのパス。どちらからリードしてもオッケーです。
615 Y-Stick
Y-StickはStickを走るレシーバーが相手のカバーによってルートを変えるコンセプト。Zoneなら4 Yds地点でストップ、Manならサイドラインに向かって流れるだけです。ショートヤードのシチュエーションや1st Downでどうぞ。
616 Y-Stick
こちらもY-Stickですが、3 by 1でも1プレイとして扱うことにしました。HはSlot Fadeです。変にフェイクとか入れずにOutside Releaseしてください。
620 Space
このコンセプトは左右どちらを選択しても結構です。
621 3 Step Smash
3 Step Smashはゴール前のSmashコンセプトを意識してください。6 Yds付近でブレイクすること。
622 Snag
右側のSnagコンセプトは一般的にBoundaryサイドに展開することが一般的なはず。その場合、逆サイドのDouble Slant (Lion)も狙い目ですので、その辺は相手や状況によって使い分けてもらって結構です。
90 Series (5 Step Pass)
90 Y Shallow Cross
90 Y Shallow Crossは、片方からShallow、もう片方からDigを走らせることで、LBをVerticalストレッチさせるコンセプトです。LBをHi-Loで挟めばLBにどちらを守るか迫ることができます。
そして、Shallow Crossの強みはフォーメーションやモーションを使うことで、誰でもShallowを走らせることができる的を絞らせないバリエーションの豊かさです。
92 Mesh
92 Meshは、Air Raidを象徴するようなパスです。XとYがアンダーニースで隙間なくクロスすることによってナチュラルピックルートとなります。クロスするデプスを決めるのはYの役割です。Yが6 Yds付近をめがけてクロスルートを走り、その直下にXが走り込んでくる形となります。交差する地点はちょうどCの目線の先くらい。
QBはZとX、Fのトライアングルリードとなります。Corner, Mesh, Swingを走るレシーバーが三角形の位置関係となり、Zoneディフェンスに対してVertical, Horizontalどちらのストレッチもかけることができます。その結果、誰かがOpen Grassにいるはずです。逆にM/MならMeshでピックできるはずです。FにLBがマッチしているならSwingに投げてもオッケーです。
94 Y-Sail
94 Y-SailはFloodコンセプトのひとつで、Verticalストレッチを強く意識したプレイです。ディープ、インターミディエイト、シャローに3人のレシーバーを”洪水”のように送り込むことで、誰かをオープンにさせる仕組みです。MeshがM/MキラーならY-SailはZoneキラーです。
Yのルートが特に重要で、Open Grassを見つけるのは主に彼の役割です。CBの位置をしっかり確認して斜めに走るか横に流れるか決めてください。
相手ディフェンスがSailに慣れてきたらバックサイドのDig, Wheelのコンビネーションを使うのもアリです。DigにSが釣られ、HのWheelが空くはずです。パスプロは頑張らないといけませんが、できるなら高確率で狙えます。
95 Y-Cross
95 Y-CrossもAir Raidではかなり伝統的なパスコンセプトです。究極にディフェンスをスプレッドさせてビッグプレイを狙います。Xがディフェンスのトップを奪い、Xがアンダーニースを引っ張ってYを空けるというのがメインの狙いです。Y-SailのYが逆サイドから来るという考えです。
ZoneだろうがM/Mだろうが、ディフェンスには構造的な弱点が必ずあります。Y-Crossはその弱点を突くようにデザインされています。画像に書かれているルールを守れば必ずOpen Grassを見つけることができる究極のパスコンセプトです。
96 All Curls
96 All CurlsはまさにHorizontalストレッチを表したプレイとなります。アンダーニースに4人しかいなければ自動的に誰かがワイドオープンとなります。96 XとZはOutside-Inでリードします。96 YはKyle Shanahan (カイル・シャナハン)お得意のHankコンセプトと同じ考え方ができます。HookディフェンダーはYのCurlに引きつけらるはずです。そうすれば、ZのCurlなどはOpen Grassを見つけやすい。もしZにCBがついているならSwingが空くはずです。
98 Four Vertical
98 Four VerticalはディープゾーンにHorizontalストレッチをかけるプレイです。その本質は「Vertical Laneに留まりながらオープンになる」ことです。このため、各カバーによってそれぞれルールが決められています。
※YはSのクッションが深ければストップというルールがあります。しかし、どのくらいのクッションならストップするのかということは非常にデリケートなタイミングが要求されるため、できるチームだけで構いません。ほかのルールだけで十分Open Grassは見つけられるはずです。
本来は3歩のパスなのでしょうが、今回はヤードを稼ぐために5歩にしています。
98 999
999は、3 by 1からのFour Verticalsです。基本的なコンセプトは2 by 2のものと変わりませんが、YのDeep Overが狙い目となります。
そのほかTagによってZoneだろうがM/Mだろうが勝てるコンセプトとなっています。
前述のFour Verticalsのバリエーションとして最初はつくりましたが、重要なパスコンセプトなので特別に別のプレイとして加えました。
Air Raid Install Video
これまで紹介したAir Raidのフォーメーションやプレイについてテキサス工科大学で使っていた映像がありました。ご覧ください。
最後に
Air Raidプレイブックは今回が最後となります。今後も何か良いプレイが見つかれば追加していく予定です。Air Raidは常に進化するもの、Mike Leach(マイク・リーチ)も常に新しいプレイを取り入れていました。
最も大事なことは実際にプレイしてみて、自分たちで考えて改良することです。それがフットボールです。
最後に今回のプレイブックづくりで多大なるアドバイスをいただいた
フットボールスナックのマスター (@masakinagk9)、
プレイについて助言くださった
yさん (@KBattlecreek)とCoach The Noviceの松場さん (@coach_novice)、
そして今回のプレイブックづくりのきっかけを与えてくれ、ブログでのポッドキャスト紹介に快く承諾いただいた
アメフト沼さん (@football_swamp)とAny Given Saturdayさん (@ags_football1)、
大変お世話になりました。誠にありがとうございます!
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