フットボール教室 – Screen Pass

こんにちは。

これまで、パスについて学んできました。

主にDrop Back Passがメインでしたが、アメフトのパスにはScreen Passというものがあります。今回のテーマはそれ。Drop Back Passとの違いやメリット・デメリット、どんな種類があるのかについて学びましょう。

目次

Screen Passとは

Screen Passとは、通常パスプロテクションをするOLがあえてパスラッシュをスカして対象となるレシーバーのブロッカーとなるプレイです。OLはタイミングよくDLを抜けさせることで、2線目以降のディフェンダーをブロックできます。ボールを受けたレシーバーはパスにも関わらず多くの援護を受けることができます。短いタイミングのパスですがビッグプレイとすることも可能です。

The Purple PersuasionのXより引用

スクリーンパスの対象となるレシーバーはWR、TE、RBです。つまりスキルプレイヤー全員を生かしたプレイがあります。

Screen Passの目的

さて、スクリーンパスは一体どういう目的で使えばいいのでしょうか。ランでもなければパスのようにロングゲインも必ず狙えるわけでもないプレイはなんのために使うのか。これはメリットにもつながることですが先に説明します。

一般的にはディフェンスのパスラッシュを弱める効果があります。パスシチュエーションでOLが力負けしたり複雑なパスラッシュに悩まされているとき、スクリーンは力を発揮します。パスラッシュで勝てるとわかったディフェンスは、パスが予想される次の1st Downまで少し距離が残っているパスシチュエーションでかなり鼻息が荒くなります。前傾姿勢マックスでサックしてやろうとアクセルを吹かしている状態です。ここでblitzに入るLBやDBの裏を通してやればビッグプレイとなります。スクリーンパスの可能性をチラつかせることで、ディフェンスのラッシュは弱まります。

もうひとつは、ランの代わりに使えるプレイだということです。最近はRPOにすることでディフェンスにストレスを与えることが可能です。ランとWRへのスクリーンを組み合わせることで、ディフェンスはそれぞれに人数負けしないような責任を割り当てる必要があります。オフェンスは有利な方を選ぶだけ。

Screen Passのメリットとデメリット

さて、先ほどメリットについては少し説明しましたが、改めてメリットとデメリットについて知っておきましょう。

メリット

パスラッシュの裏を通せる
オープンフィールドを使える
失敗の可能性が低い
ビッグプレイにつながる

パスラッシュの裏を通せるというのは先ほど説明したとおり。激しいラッシュの勢いを殺すことが可能です。

オープンフィールドを使うというのは、パスラッシュの裏の広いスペースを利用できるためです。人口密度が低いフィールドを才能溢れるスキルプレイヤーに走らせることでランより簡単にゲインを狙えます。また、ランの代わりと先ほど説明したこともここにつながります。ランでも通常より楽になりますし、WRへのスクリーンはかなり広いフィールドを使えます。結果的にディフェンスをストレッチさせることができます。

失敗の可能性が低いというのは想像すれば分かると思います。QBは早いタイミングでボールを投げるし、そのターゲットは近い。パッと決められてゲインしやすい。

ビッグプレイにつながるのは、今までの話を総合すれば簡単な話です。パスラッシュの裏を通してオープンフィールドをブロッカー付きで走れるなら人数勝ちしやすい上に走れる場所は広大です。サクッと決められてビッグプレイにつなげられるおトクなプレイです。

デメリット

綺麗に決めるのが難しい
ディフェンスのビッグプレイにもつながる

メリットだけ見るとしょっちゅう使ってしまえばいいじゃないかと思うかもしれません。が、何にでもデメリットはあります。

綺麗に決めるのが難しいとありますが、これが最大のデメリットだと思います。綺麗に決めるとはなんだと聞かれるとタイミングやブロック全てを適切なタイミング、適切なブロックで決めるのが難しいということです。オフェンスは全ての動作をタイミングよく遂行するために息を合わせる必要があり、それぞれのポジションが適切なタイミングで適切な動作を実行しなければなりません。レシーバーがスナップから振り向くタイミング、OLがDLをスカすタイミングとブロックに出るコースとブロックする角度、QBが下がってから投げるタイミング、これらが全て上手く組み合わさらなければお粗末なプレイとなってしまいます。NFLやCFBを見慣れた人には想像しがたいことですが、なかなか簡単に決めることはできません。

ディフェンスのビッグプレイにもつながるというのは、スクリーンに気づかれた場合がヤバいという話です。特に勘のいいDLがいたりCover 1などでRBなどのスクリーンのレシーバーにM/Mしている選手がいる場合、INTやロスする場合もあります。レシーバーが捕球するタイミングでハードヒットなんか食らってしまえば病院送りのHospital Passとなることも。

ラン代わりに使う以外のご利用は計画的に。

Screen Passの種類

お次はScreen Passの種類について。基本的なことが分かったところで一体Screen Passにはどんな種類があるのでしょうか。先ほどターゲットとなるのはRB、WR、TEと説明しました。ターゲットとなるレシーバーごとに基本的なプレイを紹介します。

WRのScreen Pass

WRへのScreen Passは、当然ながらフィールドの横方向へ展開します。このため、素早くプレイを行えることが特徴です。足の速いWRに広いスペースを与えることで簡単にヤードを獲得できます。ディフェンスはblitzを入れにくくなるし、RPOと組み合わせればランへの反応も悪くなります。

一方で、Screen全体に言えることですが、ブロックが難しい。特にCBへOLがブロックする場合、到達する前にタックルされる可能性も。

Jailbreak/Tunnel Screen

JailbreakまたはTunnel Screenと言います。WRがすぐに振り向きボールを受けた後、OLのブロックをくぐりながらスペースを駆け抜けるプレイです。クイックヒットが特徴なプレイです。

ターゲットとなるFのWRはスナップ後すぐにQBの方へ振り向きます。ボールを受けた後はブロックの動向を見ながら上手いことゲインを目指します。

OLとブロッカーとなるWRはそれぞれ外から順番にブロックするディフェンダーが決められています。OLはプレイが始まったらDLを捌いて2線目以降のディフェンダーをブロックしに行きます。このOLのブロックが鬼門です。

Honest NFLのXより引用

Bubble Screen

Bubble Screenは、Jailbreakと異なりターゲットとなるレシーバーは斜め後ろへ下がりながらボールを受けてブロッカーの後ろをついて行くプレイです。スプレッドオフェンスの台頭とともにポピュラーとなったパスらしい。WRのほかRBがmotionしてからターゲットとなるパターンもあります。

FのWRはSwingのようにふわりと後ろへ下がりながら外側へ流れます。この間、顔はQBの方を向いたまま。ボールを受けた後はほかのScreenと同様。

OLはブロッカーには参加しないものが多い印象です。WRがブロッカーとなりMDM (Most Dangerous Man) をブロックします。

ボックスから離れた位置でScreenを展開することで、ボックスディフェンダーを置き去りにできます。

coachkouのXより引用

RBのScreen Pass

Slip Screen

主にRBがやる印象が多いScreenです。RBはパスプロするフリをしながらこっそり振り向き、OLとともにフィールドを駆け上がります。別に上の図のようにPAP (Play Action Pass) と絡める必要はありません。

レシーバーとなるRBはパスプロをするフリをしながらこっそり振り向きます。

OLはパスプロをミスったように見せかけてRBの前へ上がりブロッカーとなります。これはタイミングが難しいプレイ。ぼくがやっていたときは「101、102、103」と数えてからブロックに出ていたような。要はきっかり3秒でパスプロを抜ける必要があります。英語だと” 1 Mississippi, 2 Mississippi, 3 Mississippi”というのを聞いたことがあるかな。

Pace N SpaceのXより引用

TEのScreen Pass

TE Screen

TEのScreenはTE Screen。まあ働きとしてはSlip Screenと同じなんでしょうが。

TEはパスプロしてから振り向きます。

OLはSlip Screenと同じようにDLたちをスカしてからブロッカーに上がります。

Firstdown_XOsのXより引用

Screen PassにおけるNFLとNCAAルールの違い

普段あまりルールについては説明していませんが、スクリーンパスで重要となるOPI (Offensive Pass Interference) のルールは注意が必要なため言及しておきます。

これはワシントン大学がことし使っていたプレイです。ランとスクリーンが組み合わさったRPOです。右のBubbleはカレッジやNFLでよく見られるスクリーンパスです。ディフェンスを横にストレッチさせながら簡単にゲインが狙えるアーリーダウンで使いやすいプレイです。

これの何が問題かというと、ブロッカーとなるレシーバーがなぜOPIにならないかということです。

日本のアメフトも準拠するNCAAルールではOPIについて次のような決まりがあります。

ボールをキャッチするレシーバーがニュートラルゾーンを越えない地点でキャッチする場合、オフェンスの選手はボールが空中にある間、相手をブロックしてもPIとならない。

ルールブックがどのような表記は不明ですが、要は上記の内容であればOPIは取られません。

Coach Dan CaseyのXより引用

引用した動画は明らかにボールをキャッチする前にダウンフィールドでブロックしていますが、ニュートラルゾーンを越えない地点で反則ではありません。かなりギリギリですが。

対してNFLはニュートラルゾーンを超えていなくともキャッチする前にダウンフィールドでブロックするとOPIの反則となるため、NFLの方がこの手のスクリーンパスは難しい。

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