こんにちは。
以前パスプロテクションについてブログを投稿しました。

ならランブロックもやるべきだろうと思いましたが、よく考えたら結局RBのコースどりなどの話もしなければいけないので、各ランプレイごとに記事をつくることにしました。
ランプレイ自体もゾーンブロッキングのゾーンランニングゲーム、ギャップブロッキングのパワーランニングゲームという名目で記事にしましたが、それよりは一つひとつのプレイにフォーカスしていこうと思います。


そんなわけで初回は最近のフットボールで最も重要と言っても過言ではないインサイドゾーンについて。
Numbering SystemとFilled Gap

まず、大事なことはブロックをする上で、オフェンスはボックスディフェンダーに番号を振ります。これがナンバリングシステムです。OLはこれにしたがってブロックする相手が決められます。プレイサイドの内から順番に0 – 2、バックサイドはマイナスの数字が割り当てられます。
続いて、Filled Gapについて。青色のギャップを見てください。このギャップには直接DLが被さっています。このようなギャップのことをFilled Gap、逆に緑色のDLが被さっていないギャップをUnfilled Gapと言います。これはダブルチームもしくはコンボブロックをする判断基準となります。
Inside Zoneのブロッキングスキーム
では簡単にOLのお仕事をしっかり学びましょう。

大体がこんな感じかと思います。
続いて別のフロントを相手にした場合。

3-4やNFLで流行っている5-1 Pennyなどを相手にするとこんな感じです。ディフェンスのアラインメントによって微妙な差はありますが、大まかな役割は下記のとおりです。
初歩的な話ですが、ゾーンブロックではプレイサイドのホールをそれぞれのOLがブロックします。最初の一歩は斜め45度前へ。各OLは自分のプレイサイドのホールがFilled GapならそのままDLを、Unfilled Gapならダブルチームしてから2線目のLBをブロックしにいきます。ダブルチームの後、どちらのOLがLBを打ちに行くかはディフェンスのアラインによるはず。一応、上の図にはそれぞれのパターンを描いておきました。
ちなみにどちらの図でもバックサイドのEDGEは浮かせています。何もないInside ZoneならBSTがHingeでブロックしてしまっても構いません。浮かす場合についてはまた後で。
RBのコース選択
続いてはRBが何を基準に走るコースを走るかを学びましょう。

RBはまず、Cのお尻めがけてLOSへ向かいます。この時#0のディフェンダー、つまりNTがCのバックサイドに顔を出しているならそのままDiveのコース、Aギャップへ抜けてもよし、PSGがWillもブロックできているならBounce out、Bギャップへ抜けてもよし。というか4-3 OverならプレイサイドのBギャップがOpen BubbleとなっているのでBギャップへ抜けるのが多いかな。逆にNTがAギャップを割っているような状態ならCutback、バックサイドのAギャップへ方向転換します。
つまるところ、基本的にRBはCの背中を見て走るコースを判断することとなります。
これがInside Zoneです。
Inside Zoneのバリエーション
さて、ここからはInside Zoneから派生したプレイたちを紹介します。いまさらのプレイもありますが、これらのプレイがあるからInside Zoneは使いやすいし巷に蔓延っているということになります。
Zone Read

先ほど放ったらかしにしていたバックサイドのEDGE対策の一つです。バックサイドのEDGEがRBかQBのどちらに食いつくかでオプションすればよしというプレイです。想像すれば分かると思いますが、RBに食いつけばQBがKeep、逆ならRBへGiveという具合です。
カレッジでは10年以上主戦力のプレイ。NFLだと3rd &ショートの勝負どころで使う印象が多い。走るQBがいるチームは別かもしれませんが。
イーグルスのZone Read。EDGEがDiveに食いついたからQBはKeep。53番のLBが外を塞いだところに57番がキレイに蓋してきた。QBのリードは間違っていなかったものの、57番が猛烈に上手かっただけ。
Split Zone

もう一つのバックサイドのEDGEに対する解決策。Inside Zoneとともに腐るほど目にするプレイです。Outside Zoneのバリエーションとしても使うことができます。
図では鋭角にカットバックしているように描きましたが、実際にはボックスディフェンダーがプレイサイドに流れやすいため、まっすぐダウンヒルにカットバックすることになります。別にカットバックしなくてもオッケー。
だいたい、プレイサイドのWingとかHBと呼ばれる存在がバックサイドのEDGEをキックアウトします。一般的にTEがこの役割を担うことが多い。Split Zone Bluffのプレイアクションにもつなげやすいからです。
非常にベーシックなSplit Zone。
Split Zone Read

これまでの集大成的プレイ。Zone ReadだしSplit Zoneだし。ふざけたプレイではありますが、エクストラブロッカーを使えることを考えれば非常に有効なプレイです。
カウボーイズは2 by 2 Condensedの体型からJetモーションを使うことでどちらにプレイを展開するのか分かりにくくしています。
ノースダコタ州立大学(NDSU)はQuads Unbalancedの体型から使うことで、CBとTEのミスマッチをつくりだしています。これならバウンダリーサイドでもフィールドを広く使うことができます。プレイ展開も早い。
Split Zone Triple Option

クソふざけたプレイ。Split Zone Readからさらにもう一つオプションをカマす性格の悪さ。でも良いプレイ。
コースタルカロライナ大学(CCU)は、ことし注目を集めた大学のひとつ。そのクリエイティブなプレイデザインにはOCの内に潜む悪魔を感じさせます。ただし、簡単にマネしてはいけない。こういうプレイはかなり合わせが重要です。変にプレイのタイミングがズレると何がやりたかったのかよく分からないクソダサプレイになる可能性も大いにあります。
Split Zone – Glance RPO

しばらく前からカレッジの主力プレイとなっているRPO(Run Pass Option)。その名のとおり、ランかパスかを選択するプレイです。判断基準は、図の場合だとSamです。彼がランに食いつけばGlanceルートのレシーバーへパス、逆ならランです。
最近はRPOの種類もいろいろ増えています。LBやNBでチョイスするもの、果てはSAFをリードすることもあります。要はランとパス両方の責任を担っている選手を狙うわけです。だいたいはスロットにアジャストしているオーバーハングの選手や2 HighのSAFなどが対象となります。
これがまさにSAFをリードするオプションです。2 Highだとランフィットの人数が足りないため、最近は片方のSAFにランフィットの役割を与えます。だからそいつで遊んでやる。そいつが上手ければ効きませんが、下手な選手を見つければこっちのもの。試合終わりにそのSAFは涙で前が見えなくなっていること間違いなし。
コメント