フットボール教室 – ディフェンスとは

こんにちは。

前回はオフェンスの全体的な話を勉強しました。

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今回はその反対、ディフェンスについても学びましょう。オフェンスと同じようにディフェンスの目的や構成する要素などを説明していきます。

目次

ディフェンスの目的

試合に勝つために必要なディフェンスの仕事。オフェンスが得点を稼ぐことならディフェンスの目的は失点を防ぐこと。それに尽きます。

ディフェンスの目的はオフェンスの反対となります。自チームのオフェンスが相手より多くの得点を稼ぐために必要なことは相手チームの得点を少なく抑え自チームのオフェンスにできるだけ早くボールを渡してあげるのがディフェンスの最も重要な仕事です。3 & Outに抑えたりターンオーバーを奪うことが理想の形です。

もしくはディフェンスが得点してもよいのです。

3 & OutとTurnover

ディフェンスが目指す3 & Outとターンオーバーとはなんでしょうか?それを学びましょう。

3 & Out

オフェンスにはルールにより4回の攻撃権 (Down)が与えられます。この間に10 Yds進めば次の4回の攻撃権が追加されます。しかし、実際は4th Downで陣地回復のパントを行うことが一般的だということは以前説明しました。3 & Outは、最初の攻撃権で相手オフェンスを10 Yds以内に抑えてしまいパントに追い込むことです。3rd Dowまでに10 Yds獲得できずにパントを強いるため3 & Outというわけです。

相手オフェンスをフィールドに入れなければ得点もされないというわけです。簡単ではありませんが、これができれば勝利に近づきます。

Turnover

キッキング以外にも攻守交代する方法があります。それがターンオーバー。

ターンオーバーには3種類あります。INT (インターセプト)ファンブルリカバーターンオーバーダウンです。

INT

相手QBが投げたパスをディフェンスがキャッチすることをINTと言います。キャッチしたその瞬間から攻守交代となりリターンが可能です。そのまま相手エンドゾーンに持ち込んでしまえばTDとなります。ディフェンスが得点する方法のひとつです。

Bleacher ReportのTwitterより引用

これがINT。

PFFのTwitterより引用

こちらはINTからのリターンTD。TDなので6点が加算されます。

Fumble Recover

ボールキャリアーがダウンする前にボールをこぼすことをFumbleと言います。こぼしたボールはフリーボールとなり、オフェンス・ディフェンスどちらの選手も確保できます。ディフェンスが確保したその瞬間、攻守交代となります。これをファンブルリカバーと言います。

ファンブルしたボールをリカバーしたらリターンしてもオッケー。TDしてもオッケー。ここはINTと同じです。

ESPN College FootballのTwitterより引用

ボールキャリアーを殴ってボールを落とさせることもディフェンスのテクニックのひとつ。

NFLのTwitterより引用

これは宙に浮いたボールをキャッチしていますがパスではないのでINTとはならずにファンブルリカバーです。

Turnover Down

「オフェンスには4回の攻撃権があり、実質3回のうちに10 Yds進む必要がある」と耳にタコができるくらい説明しました。しかし状況によって4回目の攻撃を行うことがあり、これを4th Down Gambleと言います。このギャンブルを止めれば即攻守交代。これもターンオーバーのひとつです。だからオフェンスは4th DownをパントやFGに使うことが一般的です。

実際の試合では、オフェンスはギャンブル失敗しても影響を最小限に留められるシチュエーションでしかギャンブルしません。
例:敵陣に進入したがFGをするには遠い距離、かつパントをしても大した陣地回復にならない地点など。

NFLのTwitterより引用

オフェンスからしたら普通に考えれば1st Downを更新できる距離をストップできればムード上がります。

NFLのTwitterより引用

負けていて時間的にも後がない状況なら自陣でもギャンブルします。

Safety

ディフェンス独特の得点方法 (スペシャルチームやオフェンスでもあるがディフェンスより頻度は少ない)としてセーフティがあります。

オフェンスが自陣エンドゾーン内でダウンするなどしてプレイが終わった瞬間、セーフティとなります。いわゆる自殺点というやつです。オウンゴールのアメフト版ね。

よくある (セーフティ自体よくあるものではない)例としてはエンドゾーン内でランを止めたりサックした場合のほか、オフェンスがHoldingやIntentional Groundingなどの反則をエンドゾーン内で犯した場合が挙げられます。

ディフェンス側のチームは2点を獲得すると同時にその次の攻撃権を得ることができるため、単なる2点より嬉しい。

NFL FranceのTwitterより引用

よく見るセーフティ。

PFFのTwitterより引用

これはたまに見るやつ。パントブロックからボールがエンドゾーンを超えてフィールド外に出たパターン。

NFL FranceのTwitterより引用

これが反則でセーフティとなったパターン。QBはタックルボックスから出ていない状態で誰もいない場所、かつLOSを超えない場所に投げ捨てているのでIntentional Groundingの反則を取られたらしい。

Defensive FrontとSub Personnel

ディフェンスがどういう仕事をしているか分かったところで次はフォーメーションについて。

ディフェンスは自分たち主導でプレイを始められるわけではなく、基本的にオフェンスがどんなプレイをしてこようがなんとかなる形にしておく必要があります。そのため、オフェンスのフォーメーションに対応してアジャストすることになります。

その中でもベースとなることはあります。それがディフェンシブフロント。昔は3-4とか4-3とか言いましたが、最近はポジションの垣根も減ってきたのか4-3ベースのチームでも3-3-5の見た目にしたり、3-4ベースのチームでも4-2-5の形になったりとパッと見わかりにくくなっています。

もちろん3-4とか4-3のベースは各チームにあるので初歩的なイメージとしてBase Frontがどんなものか説明します。

Base Front

上の図はピッツバーグ大学のHCを務めるPat Narduzzi (パット・ナルドゥジ)が得意とする4-2-5のPress Quarter (Cover 4のこと)ディフェンスです。細かい内容は割愛しますが、ディフェンスはTEやRB、WRの数とセットする位置に合わせたできるだけどんなプレイが来ても対応できる位置にそれぞれの選手を配置する必要があります。

フロントについてはこちらの記事を参照ください。

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Sub Personnel

サブ・パーソネルはSubstitute Personnelのことで、主にDBが何人いるかを表す言葉です。

ディフェンスは、オフェンスがどんなパーソネル (WR、TE、RBの人数の組み合わせ)で来るかを常に意識しなければなりません。例えば、RB 1人、TE 1人、WR 3人の11 Personnelの場合、4-3だろうが3-4だろうがDBは4人です。2人のSFがそれぞれDeepゾーンを担当する場合、CB 2人に対してWRは3人います。どこかにLBとWRのマッチアップが発生してしまいます。オフェンスがパスプレイを行うとすると、WRのスピードについていけるLBはいないためミスマッチとなってしまいます。これは防がなければなりません。このため、DBを通常の4人より増やす必要があります。

DBが5人いるならNickel、6人いるならDime、7人ならQuarterとなります。

NFLなら1st, 2nd Downなどの俗に言うEarly Downの時はBase Personnelの4-3や3-4で臨む場合が多いのですが、2nd & Longや3rd DownなどのパスシチュエーションはNickelディフェンスが多くなります。

先ほどのピッツバーグ大学のディフェンスだとOLBの代わりに”*”で表記される「スター」と呼ばれる選手がNi (ニッケルバック)というDBが入っています。

Run Defense

オフェンスのプレイはランとパスに分けられますが、ディフェンスはどちらかに絞ることはできません。ランが来てもパスが来ても対応できる役割を割り振りするアサインメントが与えられるだけです。つまりひとつのアサインメントでランとパス両方を守る責任が決まります。

フロントとパーソネルが決まったらセットすることは可能ですが、各選手の担当は決まりません。実際のランとパスにどのように対応するかの前にランに対してディフェンス全体でどのように対応するかを決めなければなりません。

まずはランから話を進めます。

SpacingとGap Responsibility

ランを何人で止めるかを示す言葉がSpacing、ランストップの責任を与えられる選手が負担するGap (ブロッカーとブロッカーの間) を割り振ったものをGap Responsibilityと言います。

上の図は2023年シーズンからドルフィンズのDCに就任したVic FangioのBase FrontとGap Responsibilityを示した図です。どういう内容かは割愛します。

まずボックス (OLの端から端までの幅、5 Ydsくらいの深さまでの空間) 内にいるディフェンスの選手7人は全員ランの負担を持っています。オフェンスから見るとランはどこかのブロッカーとブロッカーの間を走ることになるので、ディフェンスはそれぞれ破線で示したGapを守ることになります。そして$で表した選手、これはSFですがフィールドの狭い方、バウンダリーサイドのSFがランサポートの役割を担います。ということでこの図だと8人でランを守るのでこのディフェンスは8 Men Spacingとなります。

実際にはチームやアサインメントによってGap ResponsibilityやSpacingはさまざまです。1人で2つのギャップを守るパターンや1つのギャップを守るパターン、1.5 Gapを守る Gap & a Halfなどなど。Spacingも9人でランを止める9 Men Spacingから7 Men Spacingなどなど。

Run Fit (Gap Fit)

それぞれのランに対する守り方をRun FitもしくはGap Fitと言います。

Gap Responsibilityがあるのになぜそれぞれのランに対して新たにRun Fitが必要なのかと言うとオフェンスは最初にセットしたとおりの形にブロックしてくれるわけではないから。ブロッカーの動きに合わせて適切なキャリアーの囲み方があるわけです。ディフェンスは漁業です。目の細かい網でボールキャリアーを囲う必要があります。

内容は説明しませんが、これはベイラー大学HCのDave Aranda (デイブ・アランダ) によるSPLIT ZONEというランの止め方。このパターンのランは複数選手がボールを持つ可能性もあるため、その可能性がある選手に対してもディフェンダーを割り当てる必要があります。

オフェンスが複雑なブロックを展開する場合、最初のGap Responsibilityのままではこのようなプレイは守れません。だからRun Fitが必要なのです。Gap ResponsibilityだけでいいならLBなんか不要です。

Honest NFLのTwitterより引用

それぞれが自分の責任を全うすればこのようにランを完璧に止めることができます。

Pass Defense

ランの次はパスの対応です。パスでは主に2つの役割があります。

Pass RushPass Coverです。

Pass Rush

パスラッシュはQBサックを狙う役割です。QBサックの危険がなければQBはいつまでもボールを持ってターゲットが空くまで待てばいいだけです。そんなことしていたらいつまでもパスを止めることはできません。というわけでQBをタックルするか焦せらせる必要があります。

ラッシュには主に4人のディフェンダーを送り込むことが多いです。パスコースに出る可能性がある選手がオフェンスには5人いることを考えるとラッシュに送り込めるのは最大でも6人まで。逆に少なければ3人くらいでラッシュすることもあります。

これはアランダの得意なSPIKE 1 RATというアサインメント。

このようにパスシチュエーションとなるとDLやLB、DBを色々な方法で動かしてラッシュすることがあります。パスプロするOLを混乱させて簡単にパスを投げさせないことが大事です。

Jordan ReidのTwitterより引用

このようにQBサックできれば大成功!

どのようなパスラッシュがあるかはこちらを参照ください。

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Pass Coverage

QBを焦せらせようとDLたちがラッシュしている一方、当然パスコースに出るレシーバーたちを守る必要があります。レシーバーは最大5人、対してディフェンスは4人がラッシュする場合は7人でパスカバーできます。多いときは8人でパスカバーすることもあります。逆に少ないときは5人ギリギリでカバーすることも。

通常は数的には有利ですが、ディフェンスはレシーバーたちがどのようなルートを走るのか分からない上、後ろ向きの状態で守らなければなりません。有利なようで不利な要素も多いのです。

そしてパスカバーには大きく分けてMan CoverZone Coverの2つがあります。

Man Coverage

Man Coverはその名のとおり、人に対してパスカバーする方法です。それぞれのレシーバーとなり得る選手に対して誰がマッチアップするかを割り当てられます。単純に相手オフェンスの選手より上手ければ絶対に通されることはありません。がその逆も然り。というか基本的にMan Coverはディフェンスが不利です。特に横に逃げるようなルートについていくのは難しくなります。なぜかはやってみれば分かります。

Roderick RogersのTwitterより引用

上手くいけばこのとおり。

マンカバーにも色々あるのでこちらもご覧ください。

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Zone Coverage

なにやらゴチャゴチャ書いていますが一旦無視してください。

ゾーンカバーも名前のとおり、各ディフェンダーには担当ゾーンが割り当てられます。そのゾーンに来たレシーバーをカバーするというのが主な役割。しっかりカバーに重きを置くときはゾーンカバーが一般的。ゾーンカバーはまんべんなくフィールドを埋められるものが多い一方、ゾーンとゾーンの隙間 (Seam)に通されやすいことや対象のゾーンディフェンダーを左右や前後、はたまた三角形で挟み込むStretchに弱い。

Honest NFLのTwitterより引用

上手くカバーできればDLがサックしてくれます。

ゾーンカバーもバリエーションはたっぷりあります。

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Down & Distanceによる守り方

ディフェンスはどんなプレイが来ても大丈夫なようにしていると言ってもランに強いアサインメントやパスに強いものがあります。オフェンス編で説明したものとまるで反対ですが、一応説明しておきます。

1st Down

1st & 10

オフェンスはランの傾向が強いため、ここはランに強いアサインメントが良いシチュエーションです。一方、PAP (Play Action Pass)にもケアする必要があります。つまりCover 3などのSFが1人トップに残る1 Highのディフェンスが良いのです。

2nd Down

2nd & 7-10

ここはパスが予想されるシチュエーションです。パスラッシュを重視して3rd & Longにしたいのでラッシュ重視で行くのが良い。だからブリッツを組み合わせたCover 1などが選択肢に入ります。

2nd & 3-6

ランが予想されるので1st & 10と同じ考えで良いかと思います。

2nd & 1, 2

オフェンスはホームランを狙ってきます。ここはディフェンス目線だとWaste Downという捨てシチュエーションです。なにやっても一緒。ランで無難に来るチームならフロントヘビーなディフェンスでもありです。

3rd Down

3rd & 15-

オフェンスは陣地回復のためDRAWやScreen Passを繰り出すことが多いシチュエーションです。余計にブリッツを入れてしまうとうっかり1st Downを更新される危険性があるためここはパス重視の保守的なディフェンスを敷く方が懸命です。ラッシュはむしろ3人だけで十分。8人カバーで守りましょう。

3rd & 7-10

コーチによって選択が分かれやすいシチュエーションです。ゴリゴリパスラッシュを入れるタイプと4人ラッシュの保守的な2 Highカバーで守るタイプがあります。自信のある方でオッケー。

3rd & 3-6

ここも1st & 10と似た感じでいいですが、NFLだと3rd & 7-10と同じ守り方でもよいかと思います。ただし1st Down更新ラインを意識したアンダーゾーンを手厚く守りたい。個人的にはFlatゾーンを攻められるのがむかつくのでCover 2にしたいところ。

3rd & 1, 2

オフェンスが最も自信のあるランを仕掛けてくる状況です。こちらも真正面からがっぷり四つで戦います。オフェンスのパーソネルによってはDLやLBを増やして一歩も前に進ませないことが重要です。

コーチ別のカバー選択

オフェンスのようにDown & Distance別のランパス選択が見つからなかったので、コーチ別のカバー選択を見てみましょう。

Cody AlexanderのTwitterより引用

まずはペイトリオッツの伝説、Bill Belichick (ビル・ベリチック)から。Cover 3が一般的ですが大体バランス良く使い分けます。

Cody AlexanderのTwitterより引用

冒頭サラっと触れたピッツバーグ大学のナルドゥジディフェンス。本人のクリニックによるとランを9人で守りたいからPress Quarterを選択しているのだとか。次ぐCover 3は3 Deep 2 Underのブリッツを得意とするからです。

Cody AlexanderのTwitterより引用

イリノイのDC Ryan Walters (ライアン・ウォルターズ) はかなりのヘビーブリッツマニア。ほとんどがCover 1ですがほとんどのシチュエーションでブリッツをぶち込みます。これで調子が良かったのはDBが優秀だったからだと個人的には思っており、23年シーズンからHCを務めるパデュー大学でも同じような成績が残せるのか見ものです。

まとめ

とにかくディフェンスは「オフェンスがどんなプレイをしてもなんとかなるように守る」という考え方が大事です。オフェンスはずっと後出しできますが、ディフェンスはできません。あらかじめ決められたルール自体がどんなプレイにも対応できるようにしなければなりませんが、これが難しい。オフェンスに裏をかかれないように厳密な戦略が求められます。

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