Vic Fangio’s Defense

こんにちは。

さて、いままでNFLとCFBのファンブログと言いながら全然それっぽい話をしていませんでした。ただのアメフト勉強サイトと化していたのが現状です。

そこで、今回はNFLとCFBのファンブログっぽい企画をしてみようと思ったわけです。

映えある第1回はいまをときめくVic Fangio (ビック・ファンジオ)氏。コーチとしては大ベテランだそうですが、なぜか2010年代後半になってからあちこちから引っ張りだことなっているディフェンスのコーチです。一時ブロンコスのHCも務めていたかな?それに最近彼のコーチングツリーに連なる人物が率いるディフェンスは随分と成績が良いそうな。それはなぜか?実際どんなストラクチャー・メカニクス、スキームのディフェンスなのかを知ってみたいのがアメフトオタクの性 (サガ)。

というわけで、早速学んでいきましょう。

目次

Vic Fangioという人物について

Embed from Getty Images

ファンジオという人物は、かなりの大ベテラン。Wikipediaによると、選手としてはペンシルバニア州の高校でSFとしてプレイしていたとのこと。コーチングキャリアの最初は1979年!?に遡ります。出身高校でコーチをスタートし、NFL入りしたのは86年のセインツから。当時のDome Patrol Defenseを構築した立役者だそうです。その後、パンサーズでDom Capers (ドム・ケイパース)、コルツでJim Mora Jr. (ジム・モーラ・ジュニア)に師事したりしました。スタンフォード大学でも一度Jim Harbough (ジム・ハーボウ)の下でDCを務めています。

彼を有名にしたのは、というかぼくが彼の名を知ったのは2015年からDCとして入閣したベアーズ時代かと思います。彼が率いるディフェンスは強力で、Monsters of Midwayの再来かとも言われていたようなそんな記憶があります。その成績をかわれて19年にブロンコスのHCに就任しましたが、HCとしてはパッとしない成績に終わり22年はイーグルスのコンサルタントというよく分からん役職に就いていました。

そして、23年からはドルフィンズのDCを務めるそうです。イルカファンは否が応でも期待が高まっていることでしょう。

ちなみに年齢は64歳。23年シーズンが始まるころには65歳となっているはず。最近のオフェンス出身コーチよりだいぶお爺さんです。

Vic Fangio Disciple

ファジオの弟子たちは現代NFLにおいて欠かせない存在となっています。結構な数のチームに彼の弟子たちがコーチとして侵食しています。さすがにポジションコーチまでは不明なので、DC以上のコーチを以下に連ねておきます。

Brandon Staley (ブランドン・ステイリー) : チャージャースHC
Ed Donatell (エド・ドナテル) : バイキングスDC
Sean Desai (ショーン・デサイ) : イーグルスDC
Ejiro Evero (エジロ・エベロ) : パンサーズDC

ほかにカーディナルスHCに就任したJonathan Gannon (ジョナサン・ギャノン)もファンジオの弟子と言われていますが、ここは賛否両論だそうな。確かにギャノンはファンジオディフェンスを使いますが、弟子かと言われると微妙な立ち位置とかそういう話を聞いたことがあります。

いずれにせよ、この辺りのコーチはファンジオ系統となりますので、多少参考にはなるかと思います。

Fangio Defenseの特徴

細かなプレイブックに入る前におおざっぱな特徴を。

ファンジオディフェンスの最大の特徴は”Gap and a Half”の3-4をベースとしたQuartersカバーです。

Gap and a Halfはフロントの項目で説明しますが、Noseが2 Gap、4iもしくは3-TechのDLがB GapとA Gapの半分を担当するディフェンスです。これにより、OLがTEを含めた6人いてもボックスは6人で守ることができるという算段です。とにかくファンジオディフェンスは”Light Box”にこだわります。それだけパスカバーの人数を減らしたくないという意思の表れです。

QuartersカバーはSplit FieldのCover 4をベースとしたパスカバーです。Cover 4にはさまざまなバリエーションがあることは過去の記事でも説明しました。こちらも細かくはパスカバーの項目で説明します。

ご存知のとおり、現代NFLはKyle Shanahan (カイル・シャナハン)やSean McVay (ショーン・マクベイ)のようなWide Zoneオフェンスが流行っています。Outside Zoneを軸にPAP (Play Action Pass)で攻める戦法ですが、このディフェンスに対応するためにはパスカバーの人数を減らしたくないのです。できるだけ2 Highで守りたいわけです。

そこで、ファンジオディフェンスでは”Light Box”と”Gap and a Half”を軸に守ることがキモとなります。その分個人の能力が求められるのが玉に瑕。

Defensive Philosophy

コーチなら誰しもフィロソフィー (哲学)を持っています。どのようにオフェンスを抑えるかという考え方のことですが、ファンジオはかなり強硬派な哲学を持っています。というか誰しも理想とするディフェンスを叶えるという強い意思の表れでしょうが。

ディフェンスの目的

スタンフォード大学時代ではありますが、彼のフィロソフィーを見つけました。

最高のディフェンスは失点で評価される。相手オフェンスを得点から遠ざけろ!
相手オフェンスをすぐに止めろ!われわれは曲がりも折れもしない!3 and Outかターンオーバーを奪え!
ディフェンスが得点しろ!
オフェンスに良いフィールドポジションを提供しろ!

これができれば苦労せんわ!というディフェンスですが、彼は本気 (マジ)でこんなディフェンスの構築を目指しています。
「曲がりも折れもしない」というのは、英語で“Bend but don’t break” (曲がっても折れるな)という言葉があります。要は進まれても得点はされないように、またはFGに抑えるようにという格言です。ファンジオは「そもそも曲がるなよ!」という考えです。

基礎知識

フィロソフィーの次は基本的な知識から。各用語などはコーチによって多少違ったりするので、ファンジオディフェンスのフロントアラインメントやパーソネルについて説明します。

Front Alignment System

DLは黒、LBは青色で表しています。

OLの正面は偶数、外側のシェードは奇数、内側のシェードは1またはそれぞれのOLの正面の数字にiを付けています。TEの外シェードのみ9と例外的な数字で表されます。

LBについてはDLのアラインメントの番号を二桁にするだけです。Gの正面なら20、外シェードなら30といった具合です。

Personnel

DL、LB、DBの数を表すパーソネルは下記のとおり。

Base : 3 DLs, 4 LBs, 4 DBs
Nickel : 4 DLs, 2 LBs, 5 DBs
Penny : 3 DLs, 3 LBs, 5 DBs
Dime : 4 DLs, 1 LB, 6 DBs
Dollar : 3 DLs, 2 LBs, 6 DBs
Copper : 3 DLs, 1 LBs, 7 DBs
Jumbo : 4 DLs, 4 LBs, 3 DBs
Goal Line : 4 DLs, 4 LBs, 3 DBs or 5 DLs, 3 LBs, 3 DBs

Base Front

さて、いよいよフロントの説明に移りましょう。

Gap and a Halfとは

Gap and a Halfとは、序盤にも説明したとおり、DEがB GapとA Gapの半分を守るスキームのことです。CFBのTiteフロントと同じようなアラインメントです。Nは0-TechまたはCのShade、DEは4i、OLBはEMOL (End Man On the Line)またはEMLOS (End Man on the Line Of Scrimmage)の位置にセット、LBは体型によりけりです。

Noseは3-4 Okieなどと同じく両A Gapを守る2 Gapの役割を担います。上図を例にすると、ディフェンスから見て左にOutside Zoneが来た場合、まずCを押し込みます。続いてフロントによりますが、一般的にプレイサイドのA Gapを詰めます。まずCを押し込んで両方のA Gapを守れるようにするから2 Gapです。

DEは基本的な責任はB Gapです。しかし、Gを内側へ押し込むことで無理やりA Gapを潰してしまいます。このことを”Squeeze”と言います。こうやって自分はB Gapを見ながらGにA Gapのレーンを潰させるからGap and a Halfと呼ぶわけです。

DLはPenetrateも求められますし、Gap Controlも求められます。

両OLB、Fangio DiscipleではOverhangと呼びます(一般的にはEMOLもしくはEMLOS、EDGEと呼んでもOverhangとは呼びません)。彼らは基本的にEdge Setterです。自分の外へキャリアーを逃してはいけません。Force Manでもあります。逆サイドの場合はCutbackの役割となります。いずれにせよ、外側を抑えるだけなので役割は非常にシンプルです。

ILBはこの場合、OverlapperまたはSpillerという役割となります。A, B Gapは中のDL3人が堰き止めてくれています。横方向に流れ(Scrape)ながらキャリアーが上がってくるホールを潰します。大体はC GapかOverhangの内側が空くことになるでしょうからILBとOverhangでキャリアーを挟み込むのが目的です。逆サイドのILBは絶対にキャリアーをカットバックさせないことが大事です。

SFは両方もしくは片方がRun Fitを持つことになります。ここだけはまだ確証がないのですが、おそらくフィールドの狭い方、Boundary SideのSF、BS (Boundary Safety)がランを止めることになろうかと思います。彼の役割はこぼれてきたキャリアーを拾うことです。LOS (Line Of Scrimmage)からおよそ10ヤード離れた位置からはさすがに時間がかかるし、パスカバーの役割もあるため、キャリアーの上がってくる場所に詰めるAlley的な役割のはずです。

以上のことから、Gap and a Halfの守り方はキャリアーをどんどん外へ押し流していくSpillディフェンスとも言えます。DL 3人が決してカットバックさせず、ILBも含めてSpillさせ続けた先のForce Man、Overhangがフタをするということになります。

Penny

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PositionAlignmentGap Responsibility
Sam9-TechC Gap
Run to : Force Man
Run Away : Cutback
LDE4iB Gap (Squeeze A)
Nose0-Tech or ShadeBoth A Gap
RDE4iB Gap (Squeeze A)
Will9-TechC Gap
Run to : Force Man
Run Away : Cutback
Mike10-TechOverlap
Scrape and Spill
SF10 YdsRead & Fill

5-1の体型をPennyと呼びます。これはGap and a Halfのシステムです。NoseとDEがA, B Gapを潰してOverhangsがEdge Setterとなります。そしてMikeはOverlapperです。

どんなシチュエーションでもよく使うファンジオディフェンスの核となるフロントです。ご覧のとおり、Boxには6人しかいません。Light Boxの状態です。

DLは真ん中を潰してキャリアーを外へ外へ流していきます。オフェンスを横方向へ流すことが目的です。決して縦に押されてはいけません。

パスの場合、どちらかのOverhangがパスカバーにドロップします。Open Sideが下がることが多いらしい。NoseはラッシュするOverhangとは逆のA Gapにラッシュします。また、LOSに並ぶ5人全員をラッシュさせてCover 1を敷くこともあります。

パスラッシュのバリエーションも多く、Light Boxを維持できるから中心となるフロントなわけです。

Tite/Tuff

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PositionAlignmentGap Responsibility
Sam9-TechC Gap
Run to : Force Man
Run Away : Cutback
LDE4iB Gap (Squeeze A)
Nose0-Tech or ShadeBoth A Gap
RDE4iB Gap (Squeeze A)
Will9-TechC Gap
Run to : Force Man
Run Away : Cutback
Mike10-TechOverlap
Scrape and Spill
Jack10-TechOverlap
Scrape and Spill
SF10 YdsRead & Fill

5-2の体型ですが、こちらもGap and a Halfディフェンスのため、Bearとは違います。だいたいはPennyと共通ですが、ILBが1人足されています。

Boxに7人いるということで、Run Downで使います。つまり1st & 10とか2nd (3rd) & Shortのシチュエーションです。相手のランを試して3rd & Longのシチュエーションをつくることが目的です。

基本的な働きはPennyと同じ。

TiteとTuffの違いはNoseとBackside LBのGap Responsibilityが違います。

TiteはNoseがFlowした方向のA Gapを、LBはBackside A Gapを担当します。対してTuffはその逆。NoseがBackside A Gapを、LBがFrontside A Gapを守ります。Tuffを使うのはC Pullのランがある時だとか。すれ違いでのタックルを狙うのだと思います。

Nickel Over

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PositionAlignmentGap Responsibility
LDE9-TechD Gap
DT3-TechB Gap
Nose1-TechA Gap
RDE9-TechC Gap
Mike30-TechRun to : C Gap
Run Away : A Gap
Jack30-TechRun to : B Gap
Run Away : A Gap
SF10 YdsRead & Fill

よくある4-2-5 NickelのOverフロントです。このため、1 Gapディフェンスとなります。

この体型はどのシチュエーションでも使われますが、ランに弱い体型です。Gap and a Halfと違ってDLが複数Gapを守らず、2線目以降の選手が詰めるまでの時間を稼ぐことができないからです。このため、主にPass Downでの使用が推奨されます。NFLなら2nd & 10とか3rd & 4以上とかです。

役割は図と表のとおり、1人が1つのGapを守ります。

この体型ではパスカバーを重視しています。このためDLのAlignmentを変えることでパスラッシュのバリエーションを持たせます。

これはRushフロント。9-Tech-3-Tech-3-Tech-9-Techの順番にセットします。ここからStuntsやSlant、Blitzを組み合わせればパスプロのルールを崩しやすい。StuntsもDEとDTのクロスやIDL同士のクロスなどやりやすいです。

こちらはOverloadもしくはBOSS (Bigs On Same Side)と呼ばれるフロント。9-Tech-Shade-3-Tech-9-Techの順番に並びます。このフロントの強みはパスラッシュが得意な3-TechとGを強制的に1 vs 1にする状況をつくれることです。当然ここからStuntsやBlitzを使ってもヨシ。だいたいはShadeが逆サイドのA Gapに突っ込むイメージがあります。

RushやOverloadのStrongsideのDEをLBに変えて3-2の体型にするとMagic Frontと呼びます。

Dime

こちらはDime。Gap Responsibilityは正直分かっていません。ごめんなさい。分かったら追加しておきます。

ご覧のとおり、3 High SFの体型となっています。つまりパスディフェンスを防ぎたいというわけです。LBもパスカバーが得意な選手が入ります。DLはパスラッシュのために気持ち広めでセットします。

Coverage Shell

Split Field Quarters

ファンジオのパスカバーは、一般的にSplit FieldのQuartersカバーとして有名です。

Split Fieldは以前、Nick Saban (ニック・セイバン)のCover 7を紹介した時にも説明しましたが、フィールドを半分に割って守るパスカバーの方法です。SSはPass Strong Sideを、FS (WS : Weak Safety)はWeak Sideを担当します。

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Coverage Terminology

パスカバーの役割を説明する上で細々と専門用語が出てきます。ファンジオ独特の用語もあれば一般的な用語もありますが、各項目でいちいち説明するのは間延びしてしまうので、ここに列挙しておきます。

Carry : 縦のルートについていくこと
Final # : 最終的に外からn番目にいるレシーバーを表す (例 : SmashのインサイドレシーバーはFinal #1扱い)
Funnel : 外側のLeverage (位置関係)をキープしたままついていくこと
Squat : Flatを担当するCBが最初のセット位置 (4-7 Yds)から下がらないこと
Sink : Flatを担当するCBが最初のセット位置から下がること (10-15 Ydsくらい)

Wild (Cover 2)

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PositionResponsibility備考
CBSquat (Flat)Jam/Funnel #1
Carry #1 until Needed
Stay O/S Ass Back to Boundary
Read #1 through EMOL
SF1/2 DeepRead #1 through #3

Final #1 Deep
Will/NiVertical HookMatch/Carry Final #2
MikeMiddle HookMatch/Carry Final #3

俗に言うCover 2のことをファンジオ用語ではWildと言います。

役割は表と図に同じことを書いていますが、細かく説明します。

CBはSquatの後、FunnelするなりCarryするなりします。基本的にFlatの担当なので深追いはしません。”Stay Outside Ass Back to Boundary”とは、自分のお尻をサイドラインに向けながらプレイすることです。一番外側にいるので、外から順番にレシーバーをリードするためにCBは必ず内側を向いている必要があります。

SFは通常のCover 2と同じ。20 Ydsの深さをめがけて斜めに下がります。とにかくレシーバーに自分の裏を抜かれてはいけません。特にFinal #1のトップを守ることがメインの目的です。

WillとNiの役割は主に#2レシーバーのカバーです。純粋なCover 2なら#2がSeamなどの縦を走れば切り離しますが、Wildではずっとついていきます (Carry)。だからVertical Hookという役割となっています。

Mikeは#3に対応します。図の場合はRBとマッチしています。Flatに流れるなら放っておきます。CBがいるので。#3のレシーバーが縦のルート (Deep Over)などを走る場合はMikeがCarryすることとなります。

Quads (Cover 4)

vs 2 by 2
スクロールできます
PositionResponsibility備考
CB1/4 DeepMOD : #1 O/S & Deep
SFI/S 1/4 DeepMatch #2
If #2 Deep=M/M #2
Read Post/Curl
Sam/Ni1/4 FlatHook to Flat
MikeMiddle HookRelate Final #3

QuadsというのはNiパッケージのCover 4のこと。

Quarters系統のコーチたちはこんな感じでCover 4を運用します。

どのカバーにもオフェンスの体型によってアジャストする方法はあるのですが、Cover 4はかなり有名なのでここで紹介しておきます。

2 by 2の場合、これはオフェンスも左右対称なのでディフェンスも左右同じように守ります。

CBのMODはCover 7の記事で説明したとおり、#1のO/S & DeepルートのみM/Mに切り替えるという守り方です。ShallowやSlantなんかはNiまたはLBに受け渡します。

SFは内側のDeepをそれぞれ守ります。#2レシーバーが8 Yds以上縦に押してきたらM/Mとなります。”Read Post/Curl”というのは#1のPost、#2のCurlの順番でケアするということだと思いますが、要は「自分の裏を取られないようにしなさい」ということでしょう。

OLBとNiの1/4 Flatというのは別にFlatの1/4を担当するというわけではなく、QuarterテクニックにおけるFlatディフェンダーという意味です。ご存知のようにCover 4ではUnderを3人で守ることになるため、一気にUnderを全て守ることは不可能です。Inside-Outで守っていきます。

MikeはCover 2と同じ。

vs 3 by 1
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PositionResponsibility備考
Strong CB1/4 DeepMOD : #1 O/S & Deep
Weak CBMEG #1 Weak
SSI/S 1/4 DeepMatch #2
If #2 Deep=M/M #2
Read Post/Curl
WSTRIXCut-Cross #3 to #1 Weak
Match #3 if Vertical, Zone if Under
Squeeze #1 Weak from Robber
Ni1/4 FlatHook to Flat
WillM/M #2 Weak
MikeMiddle Hook

3 by 1になると様子が一変します。

これは3 by 1用の“TRIX”コールが入った場合の守り方となります。

3 by 1で最も恐ろしいのは#3にアスリートをセットさせて縦のルートをぶち抜かれること。通常MOFO (Middle Of the Field Open)のカバーではMikeが#3の縦を守ることになりますが、WRやアスリートTEとはミスマッチが生じてしまいます。これを解消するのがTRIXコールです。

パスストロングは通常と同じ。

WSがこのカバーのキモとなりますが、パスストロングの#3からリードします。彼が縦なりクロス系のルートならWSが受け持ちます。#3が短いルートならウィークサイドの#1のSlantやDigのような内に入ってくるルートを潰します (Robber)。

TRIXコールが入るとWCBは自動的にMEG (Man Everywhere he Goes)となります。

ここまで読んだ詳しい方ならお分かりかと思いますが、TRIXは一般的に“Pouch”と呼ばれるものです。

2 by 2にせよ3 by 1にせよ、QuartersディフェンスのCover 4はM/Mの様子が強いです。このためディフェンスはかなりのカバー能力が求められます。

Pack (Cover 6, QQH)

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PositionResponsibility備考
Strong CB1/4 DeepMOD : #1 O/S & Deep
Weak CBSquatFunnel #1 I/S
Sink if no Flat
SSI/S 1/4 DeepMatch #2
If #2 Deep=M/M #2
#2 Detached=Read Post/Curl
#2 Attached=Curl/Post
WS1/2 Deep#1 to #2 to QB Read
Squeeze #2 if #1 no Vertical
Sam1/4 FlatHook to Flat
Re-Route #2
JackVertical CurlMatch/Carry #2
MikeMiddle HookMatch/Carry #3

いわゆるQQH (Quarter-Quarter-Half)のカバーです。ファンジオ用語だとCover 6 (ほかのコーチは違うカバーをCover 6と呼ぶこともある)、NiパッケージだとPackと呼びます。

単純にCover 2とCover 4を半分こしたカバーとなります。パスストロングをCover 4、ウィークをCover 2で守ります。狙いとしては人数が多い方を多くの人数で守りましょうということです。それぞれの役割は先ほどの2つで説明したので割愛します。

Stuff (HQQ, Cover 8)

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PositionResponsibility備考
Strong CBSquatFunnel #1 I/S
Sink if no Flat
Weak CB1/4 DeepMOD : #1 O/S & Deep
SS1/2 Deep#1 to #2 to QB Read
Squeeze #2 if #1 no Vertical
WSI/S 1/4 DeepMatch #2
If #2 Deep=M/M #2
#2 Detached=Read Post/Curl
#2 Attached=Curl/Post
NiVertical HookMatch/Carry #2
Jack1/4 FlatHook to Flat
MikeMiddle HookMatch/Carry #3

Packの反対がStuff。一般的にはHQQ (Half-Quarter-Quarter)Cover 8と呼ばれます。

こちらはPackとは違い、パスストロングをCover 2、ウィークサイドをCover 4にしています。

この理由は3 by 1対策にあります。QuadsでTRIXコールを説明しましたが、StuffのキモはこのTRIXコールにあります。

TRIXコールによってWSがパスストロングの#3の縦を守ることができました。Stuffでも同じことが可能です。代わりにウィークサイドのCBとLBはそれぞれ#1と#2をM/Mすることになり負担は増えます。その代わりストロングサイドを5人で守ることが可能となります。昨今幅を効かせているPAPのクロスルートなどには特に有効な守り方です。

QQHとHQQの詳しい説明はこちらの記事を。

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Fist

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PositionResponsibility備考
CBMEG #1I/S Leverage
Stay I/S, Squeeze O/S
SF1/2 Deep#1 through #3 Read
Play Outside-In

If #1 Short, Squeeze #2
NiMEG #2I/S Leverage
WillM/M #2 WeakCombo with Mike
MikeM/M #3Combo with Will

Fistは一般的なCover 2-Manのこと。Cover 2-Manの別名Cover 5からとって“5 Fist”と呼ぶこともあります。

Fistカバーの場合、両SFはCover 2のテクニックでトップを守ります。つまりOutside-Inの順番でレシーバーをリードしてダブルカバーします。

SFが外側に広がるため、M/MするUnderのディフェンダーは自分の内側から抜かれない位置関係を死守します。

LBの2人はM/Mの対象が近ければComboのマンカバーとなります。それぞれのレシーバーがクロスするようなら受け渡すということです。

Pounder

スクロールできます
PositionResponsibility備考
CBMEG #1O/S Leverage
Possible Bracket/Vice
SFI/S 1/4 Deep#3 through #1 Read
Play Inside-Out
Possible Bracket/Vice

If #2 Short, Squeeze #1
NiMEG #2O/S Leverage
WillM/M #2 WeakCombo with Mike
MikeM/M #3Combo with Will

Pounderは、SFがInside 1/4を守る2-Manカバーのこと。先ほどと同様の理由から“5 Pounder”とも呼びます。

SFはFistとは逆にInside-Outの順番でリードします。このため、Underのディフェンダーも先ほどとは逆に外側から抜かれないようにします。

Pounderの良いところは、SFがQuartersテクニックということです。TRIXコールやBOX、BOOK、AREAなどで体系別のチェックも豊富なので単純な2-Manより幅が広い。In系のルートも潰しやすいです。

Cover 1

Cover 1はあれこれ探した結果、以前書いた記事とそこまで変わらないものが多かったのでリンクを貼り付けておきます。

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Dbl Cover

ここからはファンジオディフェンスのダブルカバーについて。Zone Match、M/Mともに特徴的なダブルカバーがあるので紹介します。

Zeus

Zeusは対象となるレシーバーのアラインメントによってカバーが変わるZone Matchベースのダブルカバーです。大層な名前がついていますが、対象レシーバーをUnderとDeepにそれぞれカバレッジ要員を割いているだけです。

対象となるレシーバーによってどのように変わるかというと、

O/S Pass Strong : Cover 8
Anywhere I/S : Quads
O/S Weak Side : Cover 6

こんな感じ。「対象レシーバーを必ず4つの目で見ましょうね」というルールです。

Finger

FingerM/Mベースのダブルカバーです。こちらもZeusと同様にアラインメントによってカバーが変わります。

O/S : Fist
I/S : Pounder

上に示したように変わります。これは1枚に収めることができたので、分かりやすいと思います。

Fistの方は普通のCover 2-Manなので、CBはTrail、SFはOverで守ります。要はVice (Hi-Lo)の守り方です。

対するPounderの方は、NiがO/SとLow、SFがI/SとHighのレバレッジをキープします。こちらはBracket (In-Out)とViceの形となります。

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