Dave Aranda’s Defense

こんにちは。

前回はNFLで有名なVic Fangio (ビック・ファンジオ) のディフェンススキームについて紹介しました。

しかし、ぼくの本分はCFBです。カレッジの戦術の方が好きなんです。というわけで今回はカレッジのディフェンスを紹介しようと思います。映えある初回はベイラー大学のHC Dave Aranda (デイブ・アランダ) のディフェンスについて勉強しましょう。

※図面では、WRを赤、TEを緑、RBを青、FBを黄色で示しています。

目次

Dave Arandaという人物について

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デイブ・アランダという人物は、フットボールの選手としての経験は高校までで大学以降は選手として一切プレイしていません。なにやらケガの影響で選手は引退したとか。

コーチとしてのキャリアは出身高校のアシスタントコーチから始まりました。その後、順調に出世していき、さまざまな大学でDCとして活躍します。ウィスコンシン大学での功績が買われたことで彼の名は全米に轟きます。そして2016年に就任したLSUのDCとして彼のキャリアはピークを迎えます。2019年にはナショナルタイトルも獲得。彼のディフェンスは全米にその力を見せつけたのです。そのまま20年からベイラーのHCとして引き抜かれ、現在に至るという感じです。

ちなみにベイラー大学でも21年シーズンにベイラーが所属するBIG 12チャンピオンとなり、シュガーボウルではぼくが応援するOle Missに勝利しています。この年にはBIG 12 Coach of the Yearも獲得しました。

アランダのディフェンスの特徴

彼のディフェンスは簡単に言うと、3-4ベースのQuartersスキームとなります。

3-4はそのままDLが3人、LBが4人のパーソネルのことですが、NFLでよく使われるような2 Gapの3-4ではなく、1 Gapディフェンスです。この辺は後で紹介します。

Quartersは、ファンジオのディフェンスと同じくCover 4をベースとした2 Highカバレッジのことです。耳にタコができるくらい言っていますが、最近のCover 4はプリベントディフェンスではない万能カバーです。その分DB、特にCBの負担は大きくなりますが、それをこなせる人材がいれば非常にバランスの取れた優秀なディフェンスです。

そして、彼のディフェンスの最大の特徴はパスラッシュにあります。彼の代名詞とも言える”PESO”パッケージから繰り出されるSIM PressureとCreepers Pressureは相手オフェンスにどこからラッシュを仕掛けるか読みにくくしています。なおさらDBのパスカバー能力が求められます。19年のLSUはオフェンス・ディフェンスともに豊富なタレントが揃っていたからこそ、ハイレベルで彼のディフェンスを遂行できたことがナショナルタイトルにつながったのでしょう。

Philosophy

彼のウィスコンシン大学時代のプレイブックを見つけたのでフィロソフィーを紹介します。

  1. 得点を許すな!
  2. ターンオーバーを誘発しろ!
  3. 得点しろ!
  4. 良いフィールドポジションでオフェンスにボールを与えろ!

だいたいどこのコーチも似たようなことを言うもんです。

そしてシチュエーション別の考え方は次のとおり。

1st & 2nd Down : ランを止めろ。ベストレシーバーを消せ。
3rd & 4th Down : オフェンスと交代しろ。プレッシャーとカバレッジを上手く組み合わせろ。
Red Zone : ターンオーバー!FGに抑えろ。簡単には投げさせるな。
Goal Line : ターンオーバー!ランを通すな。分かりやすいパスは確実に守れ。FGに抑えろ。
4 Minute : ランを止めろ。3 & Outに抑えろ。
2 Minute : 得点させるな。インバウンドでタックルしろ。オフェンスと交代しろ。
No Huddle : 怯むな。われわれのプレイをしろ。コミュニケーションがカギだ。
リードしている時 : ビッグプレイを狙うな。しかし積極的に行け。

当たり前のことですが、確実に遂行するのはなかなか難しい。口すっぱく言い続けることで、意識を共有します。

Terminology

アメフトってのはチームによって使う単語がバラバラなので、それぞれの単語の意味するところを理解することからスキームの勉強は始まります。各カバーやパスラッシュなどでいちいち説明すると、冗長になってしまうので先に一覧として記しておきます。

調べたところウィスコンシンとLSUでは共通の用語を使っていたので、スキームの説明の前に用語の意味を理解しておきましょう。用語のすべてを絵付きで紹介はできませんが、こういう用語で動いているということを理解してください。

Pass Coverage Terminology

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FOX THE POSTSFがPAP (Play Action Pass)などで#2 Verticalを守れないとき、逆サイドのSFが#2 Verticalを肩代わりする。
ROCK ‘N’ ROLLPOST SFがモーションするWRのM/Mとなり、そのWRのM/M担当だったDBがPOST SFとなる。
SCIF 2Zone Pressure Coverageにおいて、#2レシーバーを10-12 YdsまでCarryし、ほかにFlatゾーンへ走るレシーバーがいないか探す役割。
MIDDLE 3Zone Pressure Coverageにおいて、インサイドに来るFinal 3を守る役割。
VERTICAL HOOK 3Zone Coverageにおいて、#3 VerticalをSFまでCarryする役割。
CLOUDCover 2 CBが#1 WRにBumpして邪魔する役割
VERTICAL HOOK 2Zone Coverageにおいて、#2 VerticalをSFまでCarryする役割。
BUZZ 7Zone Coverageにおいて、Fast FlatやCornerをカバーする役割
COMBOM/Mのとき、2人のレシーバーが近い位置にセットしている場合、2人のディフェンダーがクロスルートを受け渡す役割。内側のディフェンダーは内側に来るレシーバーを、外側のディフェンダーは外側に来るレシーバーをM/Mする。BANJOカバーのこと。
TRAIL TECHNIQUEM/Mのとき、レシーバーにBumpして内側・後追いの位置関係でカバーすること。
VIKINGWR1人サイドのCBがTRAIL TECHNIQUEを使うこと。SFがトップを守れるため。
DALLASM/Mのとき、スロットレシーバーをインサイド・アウトサイドで挟むダブルカバー。
FUNNELM/Mのとき、XまたはZレシーバーをインサイド・アウトサイドで挟むダブルカバー。
TULSAM/Mのとき、TEをインサイド・アウトサイドで挟むダブルカバー。
LOCKどんなモーションにもついていき、SFのヘルプもないM/M。
SQUEEZEZone Coverageにおいて、CBが#1 WRのインサイドの位置関係で、Flatディフェンダーのとき、Deep Half SFは#1 Verticalを守る。
HUG RUSHRBをM/MするLBもしくはSFは、RBがパスプロやランフェイクをしたときパスラッシュする。
BONEパスラッシャーがRBのパスルートリリースを潰す役割。
TITSパスラッシャーがTEのパスルートリリースを潰す役割。
PACKERPACK Cover 2で3 by 1のとき、3人サイドのCBは#1をM/M、その他はCover 2にする。

Verbal Alerts and Calls

フィールド上で直接コミュニケーションする際の用語です。オフェンスの体型を見てこれらの用語を使うことで、アジャストします。

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HAMMERQuartersのアジャスト。OLBはFlatディフェンダー、CBは#1のM/M、SFは1/4 Deep。
NAILQuartersのアジャスト。#2がOpenのときの2人レシーバーサイドに使う。2-Readになる。
GOLDQuartersチェック。3 by 1のシングルサイドのOLBはRBのOutside and VerticalルートをM/M
SOLOM/Mアジャスト。ILBはRB、OLBはTE、SFはFBまたはもう1人のTEをM/M。
HOLEM/Mアジャスト。TITE TE (OTの横にくっついているTE)がシフトからモーションした場合、TEサイドのOLBは”5 (CINCO) CALL”をかける。4 over 3ないしは3 over 2の形をつくる。
YELLOWM/Mアジャスト。Emptyフォーメーションのとき、Rover ILBがRBをM/M、DLはRENO Twistする。
KEYM/Mアジャスト。2 Back体型かWing TEのとき、ILBはRBを2 on 1、SFはFBかOff the Ball TEを2 on 1。
ONEM/Mアジャスト。Stackアラインに対し、CBはPoint ManをM/M。
TWOM/Mアジャスト。Stackアラインに対し、CBはOff the Ball WRをM/M。
LIBM/Mアジャスト。TRUCK (Bunch)セットに対し、Field OLBがPoint Man、CBが1st Out, SFが1st InのレシーバーをM/M。
I GOT 1STZONE DOGアジャスト。SCIFディフェンダーが1st Flat、MIDDLE 3ディフェンダーが1st In、Deep Thirdディフェンダーが1st Verticalをカバー。
3 CALLZONE DOGアジャスト。WRのTight Split TandemかWingセットのとき、SCIFディフェンダーが浅い方、Deep Thirdディフェンダーが深い方のレシーバーをカバー。
PICKELM/Mアジャスト。Read Optionが懸念されるときに使う。ILBはボックス内でRBに、SSはPitch Man、FSはPostディフェンダー。
BOMBFIELD DOGアジャスト。DEがB Gap、LBがA Gapにブリッツ。
SPEARZONE DOGアジャスト。OLBがEDGEからラッシュ、Mac ILBはLooperとなり、Containラッシュ。
RAM/LIONDLはRAMなら右に、LIONなら左にスラントする。
RAY/LOUNoseはRAYなら右に、LOUなら左にスラントする。
LARRY/ROGERUnbalancedセットのとき、Cの左右を新たなC扱いとしてフロントはアラインメントを変える。
BOWBoundaryサイドにTrips体型のとき、BoundaryサイドのGを新たなC扱いとしてフロントはアラインメントを変える。
SPYQuartersアジャスト。Emptyのとき、両OLBはHAMMERディフェンダーとなる。
BOXQuartersアジャスト。TRUCKセットのとき、4 over 3の形となりSSはVerticalルートの脅威がなくなればボックスディフェンダーとなる。
5 (CINCO) CALLUNDERフロントアジャスト。TITE TEがいないとき、ストロングサイドDEは5-Techにセットする。
RENO TWISTUNDER 1アジャスト。Empty体型のとき、RENO Twistする。
TITE LT/RTUNDER 1のとき、OLBはTEがいる方をコールすることで、フロントのアラインメントを指示する。

Position

アランダのディフェンスではLBが通常の呼び方と違います。ポジションの名前を先にチェックしておきましょう。

F : FIELD Linebacker (Field Side)
B : BENCH Linebacker (Boundary Side)
M : MAC Linebacker (Pass Strong Side)
R : ROVER Linebacker (Weak Side)

基本的には上の説明のとおりの位置にセットします。MACとROVERは特に説明がなく、いろんな図面を見るとストロングサイドとウィークサイドで分けているような印象がありましたが、確実ではありません。

このほか、パスラッシュ専門の遊撃手的なJOKERというLBもいますが、メインは上の4人です。

Niが入る場合、Niは常にFieldサイドのAPEXやスロットレシーバーの前にセットします。

Run Fits

さて、いよいよ具体的な戦術を見てみましょう。

まずはランフィットから。とは言ってもまともな資料が少なくひとつの体型からのフィットしか見つかりませんでした。すみません。後ほどベースカバーでも説明するTITE 4の体型からいくつかのランに対する守り方を紹介します。

vs Split Zone

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POSITIONRESPONSIBILITY
BLBD Gap
Force
LDEB Gap
NTLag
A Gap
RDEB Gap
Squeeze
NiForce
QB to Bubble (Pitch Man)
MLBA Gap to Ball
RLBNest C Gap
FSRED HAMMER (Cover 0) = M/M ZWR

カレッジで最も重要なのランディフェンスがInside Zone系統だと思いますが、Split Zoneを例に挙げると上のとおり。

DLの3人はインサイドを潰します。NoseのLagというのはイマイチはっきりとした説明を読んだことがありませんが、RBのカットバックレーンを潰す役割だと認識しています。このため、バックサイドのA Gapを守る役割に近くなります。右のDEはB Gapにアタックした後、プレイサイドにギュッと詰めます。これをSqueezeと言うとか言わないとか。

OLBとNiはForce、ボールキャリアーを内側にカットバックさせる、外側に逃がすとしても大きく後ろに下がらせるという役割です。

このLOSに並ぶ5人でできるだけRBをBend (バックサイドに大きく曲がること)させたいわけです。NoseがA Gap、DEがB Gapを詰めることでプレイサイドにRBが上がるコースをできるだけ潰そうという働きです。もちろん、プレイサイドのAは誰も埋めていないので走る可能性はあります。

ILBがこのディフェンスのキモとなると同時に難しいポジションです。MACはまずプレイサイドのAを見るためにうっすら前に上がります。4-3ベースのディフェンスと違い、ダウンヒルに突っ込むことはしません。RBがBendしたらRBをInside-Outで追いかけます。ROVERはもはやプレイサイドに責任はありません。最初からBendするRB狙いです。このBend Back狙いでCを詰めることをアランダはNest Cと呼んでいるみたいです。

FSは端的に言ってしまえばPitch Manの役割となりますが、RED HAMMERはどちらかというとCover 0を指示するコールだそうです。だからNiを除き、CBとSFは前のレシーバーをLOCKするときに使うらしい。

vs Jet Sweep

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POSITIONRESPONSIBILITY
BLBD Gap
Force
LDEB Gap
NTLag
A Gap
RDEB Gap
FLBForce
MLBC Gap
RLBA to Ball
FSRED HAMMER (Cover 0) = M/M ZWR
SSHAMMER to FOX ALERT

お次はInside Zoneに絡めたJet Sweepです。ディフェンスからしたらクソみたいなプレイですが、役割をしっかり守ればそこまで怖くありません。

DLはInside Zoneと同じ守り方です。実際Inside Zoneが来る可能性もあるので。

BENCHとFIELDも基本は同じ。Forceです。

ILBも似たような働きです。モーションに従って少しアラインメントを変えるくらいです。MACはInside Zoneがないか確認してからJetへ。ROVERは最初からCへ詰めます。Inside ZoneやSplit Zoneと同じ守り方にしておけば大丈夫というわけです。

FSも同じです。モーションに対するアジャストとしてZのM/Mとなります。

SSはTITE 4の場合、Deep Quarterディフェンダーですが、FOX ALERTという役割もあります。これはクリニック動画をみた限り、PAPに対応するための役割です。例えば上のプレイをPAPにしてUのTEがPostを走ることもあるでしょう。こういうPostを守るのがFOX ALERTがかかったSFの責任です。このため、FSは中途半端にならずランフィットを担うことができるというわけです。

vs GH Counter

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POSITIONRESPONSIBILITY
BLBC Gap
Force
LDEB Gap
NTA Gap
RDEB Gap
MLBOverlap
RLBSpill
SSFill

最後はGH Counterです。

DLとOLBはいつもどおり。

MACはOverlap、ROVERはSpillとなります。基本的にOLBとプレイサイドのILBで外と内から挟みこんで、バックサイドのILBが拾うという形になります。

SSはランだと分かってから空いたところを埋めにきます。

Base Coverage

お次はいよいよベースカバーについて。

TITE 4

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POSITIONRESPONSIBILITY
FLBHAMMER=Flat
BLBHAMMER=Flat
MLBRelate #3=MIDDLE 3
RLBINSRT=4th Rusher
CBLoose M/M
SFDeep Quarter

最も基本的なパスカバーがTITE 4です。これは一般的なCover 4。プリベントじゃないCover 4ね。

CBはLoose Manとなっていますが、これはMES (Man Everywhere but Shallow)と同じ考え方のはず。Shallowルートのような浅いルートは切り捨ててほかはM/Mという形です。MODと似たようなものだと思ってください。

SFは普通にDeep Quarterの責任。Quartersカバーなので、さまざまなアジャストが可能です。

MACはど真ん中。Final #3を守ることになります。#3がVerticalルート来たときに弱い。ROVERは4人目のラッシャーとなります。いくつかバリエーションはあるようですが、うまく資料が見つからなかったので割愛します。

OLBの2人はFlatディフェンダーとなります。

TITE 4は体型別にさまざまなアジャストが可能なのが長所です。いくつか紹介します。

HAMMER/NAIL

2 by 2のときは主に2つのパターンがあります。

図の左側はHAMMER。これは最初と同じですが、いつ使うかと言うと、レシーバーのスプリットが広いときだとか。受け渡しの可能性も少ないのでM/Mにしてしまった方が良いという考えなのだと思います。

右側はNAIL。これは普通の2-Readです。2-Readが分からない方は下記の記事をご覧ください。簡単に言うと#2が縦ならCBは#1をM/MするソフトCover 2です。NAILはレシーバーがフォーメーションのコアから離れていて、かつレシーバー同士が近いときに使います。

ちなみに2人のレシーバーがコアから離れていて、レシーバー同士が遠い場合はRED HAMMERでM/Mにしてしまいます。

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こちらは3 by 1アジャスト。Single SideをGOLD、Trips SideをSTUBBIEに変えています。

GOLDはBENCHがRBをM/Mするもの。RBがWheel走ろうがM/Mです。DBは変わりません。

STUBBIEはCover 7のひとつです。CBと#1だけLockして切り離し、あとは#2と#3をNiとMAC、SSでMODカバーします。

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TITE 5もTITE 4と同じくCover 4です。唯一の違いはROVERの働き。

ROVERはTITE 4では4人目のパスラッシャーとしてカバレッジの責任はありませんでした。TITE 5では、VICEという役割を担っています。これはBENCHやMACがレシーバーをカバーできないとき、ヘルプしてあげるというもの。

TITE 2

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POSITIONRESPONSIBILITY
FLBNail Hook #2
BLB4th Rusher
MLBHook #3
RLBHook #2
CBCloud
SFDeep Half

これは普通のCover 2です。独特な用語が並んでいますが、Cover 2と同じゾーンを守りながら対応するレシーバーにマッチするとおもってください。

Nub体型のときにCBがBENCHの代わりにラッシュする“CLEO”というコールがあります。

WIZARD 4

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POSITIONRESPONSIBILITY
FLBHAMMER=Flat Defender
BLB2 by 1 or 3 by 1=4th Rusher
2 by 2=HAMMER
MLB2 by 1 or 3 by 1=Relate #3
2 by 2=4th Rusher (“DEUCE” CALL)
RLB2 by 1 or 3 by 1=HAMMER
2 by 2=Relate #3
CBLoose M/M
SFDeep Quarter

もうひとつの主力カバレッジがWIZARD 4です。

基本的な役割はTITE 4と同じです。違いはオフェンスの体型によってパスラッシュが変わるということ。

上の図は2 by 1ですが3 by 1も同じくBENCHが4人目のラッシャーとなります。ラッシュするというかセットするサイドはROY/LEEコールで指示します。

こちらは2 by 2の場合。MACが4人目のラッシャーに変わります。2 by 2のとき、”DEUCE”コールでMACがラッシュします。また、LSU時代のプレイブックではROVERがラッシュするパターンもあります。

パスラッシュはGの肩を見てラッシュするGapを変えます (V-TECH)。ディフェンスから見てGが左に向いていたら右から、右を向いていたら左からという具合です。

FIELD DROP

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POSITIONRESPONSIBILITY
FLBHook/Curl
BLBBuzz
MLBRelate #3
RLBFinal #2
CBDeep Third
SFDeep Third

Cover 3に近いパスカバーです。

FSとCB、ILBは普通のCover 3なので割愛します。

SSのSCIFはターミノロジーでも少し説明しましたが、#2のVerticalに対応する役割です。FSがカバーできるように10-12 YdsまでCarryするのがお仕事です。何の略なのかは分かりません。

BENCHのBuzzはFlatゾーンとCornerルートまで守る役割です。

UNDER 1

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POSITIONRESPONSIBILITY
FLBM/M Y
BLB4th Rusher
MLBM/M T with ROVER (“KEY”)/Hole
RLBM/M T with MAC (“KEY”)/Hole
CBM/M X or Z
SFM/M F (“KEY”)/Post

こちらはCover 1です。

ILBの2人はTBを、SFの2人はFBを2 on 1でM/Mします(KEY)。それぞれ自分のサイドに来たBackをM/Mして余った方はHoleとPostゾーンを守ります。

Base Pressure

次はベースプレッシャーです。要はブリッツパッケージのことです。

SEATTLE CAT

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POSITIONRESPONSIBILITY
LDESlant to Field B Gap
NTSlant to Boundary A Gap
RDESlant to Boundary C Gap
FLBSlant to C-A Gap
if OT Slides Field=A Gap, if OT Slide Boundary C Gap

“SONIC” Contain Rush
BLBFlat 7 (Flat to Corner Route)
MLBVertical Hook #2
“SONIC” Rush C-A Gap
if OT Slides Field=A Gap, if OT Slide Boundary C Gap
RLBVertical Hook #2
Field CBCloud
Boundary CBDeep Half
Field SFContain Rush
“SONIC” Vertical Hook #2
Boundary SFDeep Half

Deep HalfのFire Zoneです。Fieldサイドから2人ブリッツに入れます。それに従ってFCBを残してパスカバーはローテーションすることになります。

FIELD OLBはプロテクションによって入るGapが変わります。FANとかのスライドが自分の方向に来たら内側のA Gapに向かって切れ込みます。

SSはContainラッシュの役割となります。

BENCH LBのFlat 7はBuzzと同じ役割だと思いますが、なぜ名前が違うのかは分かりません。とにかくFlatディフェンダーで、Cornerルートまで守ります。

ちなみに”SONIC”コールが入ると後に説明するFIELD DOGに変わります。

BoundaryサイドのプレイになるとX CATという名前になります。

CHOP DOG

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POSITIONRESPONSIBILITY
LDESlant to Field C Gap
Contain Rush
NTSlant to Field B Gap
RDESlant to Boundary A Gap
FLBSCIF #2
BLBRush Boundary C Gap
MLBMIDDLE #3
RLBSCIF #2
Field CBDeep Third
Boundary CBContain Rush
Field SFPost Zone
Boundary SFDeep Third

3 Under 3 DeepのFire Zoneとなり、このタイプのブリッツパッケージはアランダ用語で“ZONE DOG”と呼ばれます。BoundaryサイドのCBがラッシュに参加するので、それに伴ってパスカバーはローテーションします。

DLのスラントはGapに入り込むというよりOLに当たりにいく感じ。全体的にFieldサイドへ押し込んでLBとCBのラッシュレーンをつくりだします。

BENCHはC Gapですが、内側ギリギリに入り込んで、CBのラッシュレーンを殺さないようにします。RBやFBがパスプロに来たら内側からラッシュするイメージ。

CBはスナップ前からジワジワボックスに近づきスナップと同時にContainラッシュとなります。

FieldサイドからのパターンはFIELD DOGとなります。

FIELD DOGはCBが遠いので、MACがラッシュします。

STAR DOG

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POSITIONRESPONSIBILITY
LDESlant to Field C Gap
Contain Rush
NTSlant to Boundary A Gap
RDESlant to Boundary C Gap
FLBSCIF #2
BLBSCIF #2
MLBRush Field A Gap (1st)
RLBRush Field B Gap (after MAC)
Field CBDeep Third
Boundary CBDeep Third
Field SFMIDDLE #3
Boundary SFPost Zone

DLは内側を空けるようにスラントします。

MACはA Gapにラッシュします。その後からROVERがB Gapに突っ込みます。CはNoseに、GはMACに、OTはDEにマッチするため、ROVERはRBと1 on 1の状態となり、こちらに有利な状況が発生します。

ブリッツでスカスカのVacancy Areaとなったど真ん中はSSが埋めます。あとは図のとおり。

MARS PEEL 0

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POSITIONRESPONSIBILITY
LDESlant to Field C Gap
NTSlant to Boundary A Gap
RDESlant to Boundary B Gap
FLBContain Rush (Peel)
BLBContain Rush (Peel)
MLBRush Field A Gap (1st)
RLBRush Field B Gap (after MAC)
Field CBMEG Z
Boundary CBMEG X
Field SFM/M Y or F (“COMBO” with FS)
Boundary SFM/M Y or F (“COMBO” with SS)

こちらはCover 0のブリッツです。FieldサイドのA B GapにILBがブリッツしますが、OLBもContainラッシュします。

DLは先ほどと似た役割ですが、Containラッシュが外側にいるため、その分内側にズレます。

FIELDとBENCHはContainラッシュですが、TBがSwingなどのルートに出る場合はTBをM/Mします。このラッシュとRBのM/Mを同時に担うことをPeelと言います。OLBがラッシュからRBのM/Mについていく軌跡を見るとバナナの皮を剥くようなルートになるためPeelと言います。

MACとROVERはSTAR DOGと同じイメージで。

SF2人はTEとFBもしくはOff the Ball TEを2 on 2でM/Mします。要はBanjoカバーです。

こちらのBoundaryサイドのパターンをRIM PEEL 0と言います。

NASTY 0

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POSITIONRESPONSIBILITY
LDESlant to Field B Gap
NTSlant to Boundary A Gap
RDESlant to Boundary B Gap
FLBContain Rush (Peel)
BLBSlant to Field C Gap
MLBM/M TB
RLBContain Rush
Field CBMEG Z
Boundary CBMEG X
Field SFM/M Y or F (“COMBO” with FS)
Boundary SFM/M Y or F (“COMBO” with SS)

6 menフロントからのCover 0ブリッツです。

大外以外はどちらかにスラントします。左右は“RAM/LION”コールで決めます。

スラント以外はインチャージする“PINCH”コール、B-EとN-Eがスタンツする“INDIAN”コール、中の4人がスナップ前に内側へSTEMしてからストレートラッシュする“TITE”コール、全員が内側へSTEMしてからストレートラッシュする“GAPS”コールがあります。

MACはTB、CBはそれぞれのWRをM/Mします。SFのCOMBOは先ほどと同じ。

PESO

冒頭にも述べたとおり、彼の代名詞といえば“PESO”パッケージです。どんなものか紹介した後、実際にどんなアサインメントがあるか少し紹介します。

PESO Packageとは

PESOとは、彼が得意とする2-4-5のパーソネルのことです。Noseを抜いてNiを入れることですが、こうすることでパスカバー能力を犠牲にすることなくパスラッシュのバリエーションがかなり広がることが大きなメリットです。それにTITEフロントだけでなく4-2-5の体型も可能となります。選手にバーサタイル性は求められますが、高次元で実現できれば非常に強いパッケージです。

ちなみにアランダはNiを常にFieldサイドに置きます。広いフィールドをカバーするためにはLBよりDBの方がふさわしいということです。それにNiを置くことで、パスカバーに入るのかブリッツするのかを読まれにくくなるとかならないとか。

というわけでいくつかPESO特有のブリッツパッケージをいくつか紹介します。

SPIKE 1 RAT

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POSITIONRESPONSIBILITY
LDESlant to Field A Gap
RDESlant to Boundary B Gap
FLBContain Rush (Peel)
BLBRat
Flare Control
MLBRush Field B Gap
vs OL, Go Inside
RLBM/M HB
Field CBM/M Z
Boundary CBMEG X
NiM/M S
Field SFM/M Y
Boundary SFPost Zone

TEがいるサイドからブリッツをかけるのがSPIKE 1 RATです。TEサイドはRIVER/LAKEコールで指示します。TEがいない場合、フォーメーションのコアから離れている場合はHBのいるサイドで判断します。

DEとMACの点線はOLのパスプロに対してさらに内側へ切れ込むことを表しています。RDEの場合は外側ね。

BENCHはラッシュをかけませんがHBがSwingなどのルートに出る場合はついていきます。別にラッシュするわけではないので、Peelではありません。

それ以外のHBのルートに対してはROVERが対応します。

FieldサイドのDBがMEGじゃないのはStackアラインなどでBanjoカバーとなる場合もあるからです。

ORTON

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POSITIONRESPONSIBILITY
LDEvs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=B to Contain
vs 2 by 2=Slant to C Gap
RDEvs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=Slant to Field A Gap
vs 2 by 2=Slant to Boundary A Gap
FLBvs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=Slant to C Gap
vs 2 by 2=B to Contain
BLBvs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=Curl/Flat
vs 2 by 2=Hook/Flat
MLBvs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=Weak Hook
vs 2 by 2=Hook #3
RLBvs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=Rush Boundary A Gap
vs 2 by 2=Rush Field A Gap
Field CBLoose Man
Boundary CBLoose Man
Nivs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=Strong Hook
vs 2 by 2=Nail Hook
Field SFvs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=Curl/Flat
vs 2 by 2=Deep Quarter
Boundary SFvs 3 by 1, 2 by 1, 3 by 2=Post Zone
vs 2 by 2=Deep Quarter

4 men Creepersのプレイです。オフェンスの体型によってカバーが変わります。3 by 1, 2 by 1, 3 by 2のときはCover 3、2 by 2のときはQuartersとなります。

2 by 2のQuartersはほかのCover 4と同じようにHAMMER、NAIL、RED HAMMERのアジャストがあります。

ブリッツに入るのはROVERです。オフェンスの体型によって入るサイドが変わり、DLもROVERのラッシュレーンを空けるようにスラントを変えます。

RODGERS 2 PACKER

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POSITIONRESPONSIBILITY
LDESlant to Boundary B Gap
RDESlant to Field A Gap
FLBHook #3
JLBRush Boundary A Gap
MLBContain
RLBShow Pressure to Vertical Hook #2
Field CBNail
2 to 1 Read
Boundary CBNail
2 to 1 Read
NiNail Hook
Field SFNail
2 to 1 Read
Boundary SFNail
2 to 1 Read

5 Under 2 DeepのSIM Pressureです。プレッシャーを見せておいて違うところからラッシュしたりそのままラッシュしたりすることで、プロテクションのルールを壊しやすくなります。

Jというのは“JOKER”というポジションで、主にパスラッシュを担当するLBです。

RODGERS 2 PACKERSの場合はMACとROVERをLOSに上げることでブリッツの危険性を伝えています。実際にラッシュするのはMACとJOKERです。

パスカバーはCover 2ですが、2-Readとなります。

SIM PressureとCreepers Pressure

先ほど説明したSIM PressureとCreepers Pressureは過去に記事にしています。よく分からない方はこちらも参照ください。

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アランダのディフェンスは、SIM PressureとCreepers Pressureの組み合わせが多いのが特徴です。簡単にプロテクションさせず、QBにプレッシャーを与えるのが上手いらしい。

ちなみにPESOパッケージのブリッツパッケージには名QBの名前を冠したプレイが多い。“BLEDSOE 3”だったり“BRADSHAW 2”だったり“BRADY 3”だったり。

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