フットボール教室 – いろいろなCover 2

こんにちは。

前回はCover 1の基本とさまざまなバリエーションについて学びました。

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今回はその続き。Cover 2の基本とバリエーションについて学びましょう。ゾーンカバーはどんどんややこしくなります。パッと見ただけだと分かりにくいものも多数あります。みなさんの観戦の一助になれば幸いです。

目次

Cover 2の基礎

CB:Flat
SAF:1/2 Deep
NB, Will:Curl
Mike:Hook

ディープゾーンを2人で守るからCover 2。アンダーニースは5人で分割します。5分割したアンダーニースは外からFlat、Curl、Hookと呼びます。

CBはWRのOutside ShadeにセットしFlatをカバーします。あまり下がらずに縦に走りこんでくるWRを邪魔してCBの内側からリリースさせます。これはSAFのヘルプの役割です。Fadeをそのまま外から通してしまうとSAFは間に合いません。だから内側からリリースさせることが重要です。ちなみにSquatと書いてあるのはFlatにどっしり構えるCBのテクニック。Flatディフェンダーなのでランサポートの責任も負います。最後のオープンコンテインの役割が一般的かと思います。

NBもしくはOLBはCurlに下がります。急いで下がらずQBをリードしながらターゲットが来るのを待ち構える感じ。Mikeはど真ん中のHookに下がります。クロス系のルートが来たらMikeが潰す役割です。

Cover 2の弱点はサイドライン際のディープゾーン、通称“Turkey Hole”ディープのど真ん中です。アンダーニースは分厚い代わりにディープは2人しかいません。だからSmash-7とかが効きやすい。

それとランに弱い2 Highシェルはボックスに人数が少なく、フロントの負担が大きくなります。

RevDeuce氏のTwitterより引用

Cover 2のバリエーション

Tampa 2

1990年代末から2000年代初頭にバッカニアーズのHCだったTony Dungy(トニー・ダンジー)が有名にしたからTampa 2

Mikeがディープのど真ん中に下がります。こうすればCover 2の弱点を埋められるでしょ?TEのSeamなんか来ても大丈夫。Lovie Smith(ラビー・スミス)が大好きなカバレッジシェルです。

デメリットはMikeの負担がデカいこと。プレイアクションとか大忙し。「ランか?パスや!あー!」って感じで猛ダッシュでディープに下がらなければなりません。それとMikeがディープに下がるから、Hookはボコッと空きます。Tampa 2 ビーターとして有名なパスはYankee。プレイアクションと組み合わせればMikeイジメが可能です。

Ben Baby氏のTwitterより引用

これは普通のTampa 2。

Mark Bullock氏のTwitterより引用

これはCBブリッツと組み合わせたローテーションのTampa 2。

https://twitter.com/The_Coach_A/status/1514226887882645509?s=20&t=Ylk6LfyQavAcB5hqAt5UIw
Cody Alexander氏のTwitterより引用

これは派手なローテーションのTampa 2。プレスナップからTampa 2だとは分からない。

Cover 2-Man (Cover 5)

2 DeepとM/Mカバーを組み合わせたCover 2-Man。人によってはCover 5とも呼びます。

ディープの保険が2人もいて、マンカバーで守れるからバランスは良い。アンダーニースの5人はInside Shadeについてレバレッジをキープします。Cover 1とは違ってディープのヘルプが2人いるので、外から抜かれても大丈夫。追いかける形のTrailテクニックを使ってHigh/Lowの形で挟み込むことができます。

デメリットはCover 1と似ています。M/Mはクロス系のルートに弱い。Meshコンセプトなんかはピックされやすく狙い目となります。あとはQBランに弱い。RBも含めて全員パスコースに出してしまえば、フィールド中央からディフェンダーはいなくなります。そこへQB Drawしてしまえば土手っ腹を切り込むことが可能となります。

Joe Blewett氏のTwitterより引用

2 Sky (2 Cloud)

2 Skyまたは2 Cloud、人によってはCover 2 Birddogと呼ぶこともあります。

ローテーションのCover 2です。Cover 2の弱点であるランディフェンスに強いカバレッジシェルです。SSをボックスに上げることでボックスカウントを増やします。代わりにCBとFSが1/2 Deepを担当します。

デメリットはFSの移動距離がハンパない。XのFadeとかは大変に思えます。あとはSSサイドのFlatが遠いかな。

Josh Cohen氏のTwitterより引用

2 Trap (Gold)

Trap Coverは別に記事つくろうか迷いましたが、Cover 2を使ったTrapもあるのでここでも紹介します。2 Trap、別名“Gold”

その名のとおり、QBを罠にかけるのがTrap Coverです。上の図のようなFadeOutのパスパターンがあったとします。CBはSoft Squatと呼ばれるテクニックを使い、No.1レシーバーのFadeについていきます。しかしこれは罠。QBが「じゃあ、Outが空くな」と思いパスを投げたら最後。CBはOutルートに戻っているのです。プレスナップの状態だと普通のCover 2です。プレイが始まるとマンカバーのように見えるわけです。だから罠にかかる。

実際のプレイでは、CBはNo.2レシーバーをリードしながらNo.1レシーバーについていき、程よきところでSAFに受け渡します。No.2レシーバーにはNBやOLBがマッチし、Vertical Hookを守ります。Zone Matchの要領でOutルートには内側から追いかけることになります。SAFはCover 2と一緒。

Trap Coverはブリッツと相性が良いのでこんな図にしてみました。サックかINT、もしくはレシーバーへのハードヒットかどれかをオフェンスに選択させるカバレッジ。

Gregg Williams(グレッグ・ウィリアムス)Dick LeBeau(ディック・ルボー)が得意としているそう。

Josh Cohen氏のTwitterより引用
Elite Media GroupのTwitterより引用

2-Read (Palms)

Cover 2Pattern Match Coverです。パターンマッチは特定のパスパターンが弱点となるカバレッジシェルにおいて、その弱点を補うものです。それは後で説明するとして、まずは役割分担から。

CBはNo. 2からNo. 1へとリードします。これを2 to 1 Readと言います。No. 2がバーティカルルートならNo. 1をM/M。No. 2がアウトサイドに来るならNo. 2をM/M。この辺はジャンプするのか、Wheelルートをケアするかでコーチによって差があるそうです。まあ、M/Mの方が安全かな。No. 2のインサイドリリースは関係なし。

SAFはNo. 2とNo. 1をリードNo. 2がバーティカルルートならそのままNo. 2をM/M。No. 2がアンダーニースのルートならNo. 1のバーティカルルートを抜かれないようにトップの位置をキープします。

ApexはNo. 2がバーティカルルートならReroute(邪魔する)してあげる。ウトサイドなら内からついていく、インサイドリリースならMikeまでCarry。No. 3がチェックダウンに出てきたらNo. 3をタックル。

MikeはHook/CurlでクロスルートをWall-Off

一般的には2-Readがよく使われる名前です。ほかにはPalmsと言う人もいます。ただし2 TrapPalmsと呼ぶ人もいるので、2-Readが1番誤解なさそう。ちなみにDave Aranda(デイブ・アランダ)NailNick Saban(ニック・セイバン)Cover 7 “Clamp”と呼ぶそう。

では、なぜこういうパターンマッチが必要なのでしょう?

それはこういうルートコンビネーションに対応するため。Four Verticalというコンビネーションですが、Cover 2ではディープの人数が足りないのが分かると思います。2人しかいないディープに4人送ってしまえば2人はワイドオープンになる計算です。

これに対応するために2-Readがつくられました。実際にFour Verticalに2-Readのルールを当てはめるとこんな感じ。

これで全部守れるでしょ?

このように非常にバランスの良いカバレッジなのです。ほかにも2 by 2でもTEがフォーメーションにくっついていたらNo. 1はCB、No. 2のディープはSSがM/Mという考え方もあるそうな。3 by 1の守り方など色々ありますが、今回は基本だけに抑えておきます。

2-Readは普通のパスに対してバランス良いけど、このアジャストだとランにはめっぽう弱い。ボックスカウントは足りてません。まあその辺はアジャスト次第だと思います。

Barry Hoover氏のTwitterより引用

2 Buster

画像が上下反転していますが、気にしないでください。今後はディフェンス目線でやっていくので。

Nick SabanとKirby Smartのチームで使うCover 2の3 by 1用のMan-Matchシステムです。簡単に言うと*と$のBanjoカバーです。

Tripsサイドだけ説明します。

CBは2 TrapのイメージでNo.1の縦についていきます。そして10-15ヤード地点でOut系のルートが見えたらそこでNo.1をSAFと受け渡してOutルートをカバー。

*と$は簡単に言うとNo.2を*が、No.3を$がカバーします。一つ注意点があり、No.2とNo.3が近いときはNo.2を$が、No.3を*がカバーします。No.2と3が近いということは、クロスする可能性が高いからです。

SSは普通にDeep 1/2です。すべてのルートのトップを守ります。

ところでこの守り方はSail Killerと呼ばれています。実際にどう守るのか図と動画で見てみましょう。

こんな感じ。深い位置でTrap Coverするイメージです。Flatは*の方がレバレッジ的に有利なので受け渡します。結局のところ$はFinal 3的な役割です。

Ted Nguyen氏のTwitterより引用

これが2 Busterかは定かではありませんが、イメージとしてはこんな感じです。単純に2 Trapの可能性もあります。この辺は動きが似てるので正確なところは選手とコーチしか分かりません。

ちなみに4 over 3の形をBusterと言いますが、3 over 2の形になると2 Cougarと言うそうです。

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