こんにちは。
皆さんは”Situational Football”という単語を聞いたことがあるでしょうか?おそらく、ほとんどのファンは聞いたことがあるでしょう。試合の各状況でどのように試合を進めるか、各状況でのプレー選択などを表現するようなニュアンスで使われる言葉です。
アメフトというのは得点するために相手エンドゾーンまでボールを運ぶ必要があるわけです。そして、相手エンドゾーンまでボールを運ぶ上で、1st downを更新しながら前線を押し上げていきます。その際、フィールドポジションやDown and Distance、時計などの多くの条件による影響を受けます。今回はそのような多くの条件でどのようなことに気をつけるか、どのような選択をすればよいのかなどについて学びます。
今回はオフェンスからみたSituational Footballです。
※今回の記事では、具体的なプレーを紹介するわけではありません。一般的に試合を見たり実際にプレーしたりする上で注意する点をまとめたものです。
Situational Footballについて
Situational Footballは、試合の各状況に応じて最適なプレーを判断する考え方のこと。
アメフトは合計得点の多さを競うスポーツであり、得点するためにフィールドを前進する必要があります。ボールが置かれているフィールドの位置、Down & Distance、時間、そして得点差という要素がプレーを選ぶための条件となります。
例えば、自陣20 Ydsと敵陣エンドゾーン間際では、使えるフィールドの広さが違います。自陣20 ydsならWRがどれだけ奥へ走り込んでもQBが投げられる限り問題ありませんが、 エンドゾーン間際だと縦のスペースは狭まります。
1st & 10と3rd & 10では、ゲインしなければならない距離が違います。1st & 10なら1 ydしかゲインできずとも通常は残り2回のチャンスがありますが、3rd & 10ならその1プレーで1st down を更新しなければなりません。
また、アメフトは1Q当たり15分、計4Qで試合が行われます。さらに、前半と後半で分かれ、前半の終わりは次のQに引き継がれません。残り時間が少ないのにのんびりいつもどおりプレーはできません。
得点差も重要な要素です。十分なリードを保ったまま試合終盤となった場合、どれだけノーハドルのハイテンポなオフェンスが売りのチームでも試合をスローダウンさせることが重要です。逆に逆転の望みがある状況で時間のかかるドライブは御法度。
このように、各状況で試合に勝つ確率をひとつずつ高める、もしくは負ける道筋をひとつずつ潰していくプレーを選択することこそがSituational Footballです。
フィールドポジションによる影響
さて、ここからは具体的に各シチュエーションの特徴や気をつけるべき事項を紹介します。
自陣1~10 yds
1試合にそう多く発生しません。1回あるかどうかの割合です。
自陣を表すとき、英語では- (マイナス)表記をよく使います。アメリカ人のSNSなどでの投稿や記事を読む方は覚えておいたほうがいいです。
自陣エンドゾーンを背にした、まさに背水の陣の状況です。少しでもロスすればセーフティとなり、相手に2点を与え、さらに相手オフェンスから次のシリーズが始まります。なんとしてでも前進し、相手に得点を与えないようにしなければなりません。
自陣11~49 yds
ドライブが始まるときは大体このシチュエーションです。1試合で多くの回数を目にします。
特段、警戒しなければならない状況ではありません。early downはRun、RPO (Run Pass Option) 、Quick Pass、5-7歩のDrop Back Pass、PAP (Play Action Pass) など、スカウティングやそれまでの試合展開からなんでも使います。試合の最初の方なら用意していたプレーを順番に試し、相手の出方を伺う状況となります。Base Playというやつを使うのが一般的です。3rd & 4th downは残りヤード数によって状況が異なるため、後で説明します。
50~敵陣26 yds
先ほどの自陣よりは少ないですが、それでも試合中に何度も訪れるシチュエーションです。
先ほど自陣は”-“で表記すると言いましたが、敵陣はそのまま”+ (プラス) “で表記します。
敵陣との境界からいわゆるレッドゾーンまでの状況です。レッドゾーンは20 yds以内と考える人と25 yds以内と考える人がいますが、厳密な数字はともかくレッドゾーンまでの距離と理解してください。自陣、敵陣問わずですが、フィールドの中央は一度Vertical Shotを試す好機です。PAPで一発デカいパスを見かけますよね。トリックプレーを試してもいい状況です。試合状況的に自分たちに余裕があれば、淡々とBase Playを続けても結構です。
Red Zone (敵陣25~5 yds)
1試合で10プレー以上は見かける状況です。
レッドゾーンでの得点率が勝利に直結します。また、TDかFGかも重要です。できればTDが欲しいシチュエーションですが、リードしていたり、時間が十分に残っているならFGでも構いません。とにかくターンオーバーによる無得点は避けたい。
気をつける事項
Goal Line (敵陣4~2 yds)
1試合に数プレーあるかどうかのシチュエーションとなります。
ここは是が非でもTDが欲しいフィールドポジションです。そこそこリードしているならともかく、FGは避けたいところ。ゴール前に応じたプレーが見られる場面となります。
気をつける事項
1 Yard Line
1試合に1回あるかないかの状況です。あるときは立て続けにプレーしますが、ちょうど1 ydで何度もプレーすることはそうそうありません。
最も自信があるプレーでエンドゾーンに飛び込むシチュエーションです。1 ydと2 ydsではまた違います。ディフェンスも一歩も下がれないシチュエーションのため、より多くの人数が前のめりに守ってきます。
気をつける事項
Down and Distance
4回の攻撃権のうちに10 ydsを獲得し、Driveを継続し、得点することがオフェンスの仕事です。肝心なのは”Manageable”な状況に身を置き続けること。Manageableとは、オフェンス側がPlayを選択できる状況のこと。要はLongの状況、現地中継でよく言われる”obvious pass situation”は避けたいということです。ディフェンスからすればどんなPlayか予測できない状況が続くのは守りにくいのです。
1st downと2nd downをearly downと呼び、early downのうちにフレッシュを更新するか3rd & shortの状況をつくりだしたい。2nd & longと3rd & middle以上のPass SituationをNickel Down、それを除いた状況をNormal Downと考え、常にNormal Downをキープすることを目指しましょう。
3rd downは場合によっては4th downも視野に入れることもあります。50 yds付近 ~ FG圏内までは例え4th downギャンブルに失敗してもそこまで痛手ではないからです ( 一般的に4 down Territoryと言われる陣地)。また、試合終盤4Q時点でリードされている場合は否応なく4th downもplayせざるを得ません。
Down & Distanceは、概ね3 ydsごとにShort, Middle ( Medium ), Longなどに分けられる。
Short = 1 ~ 3 yds
Middle = 4 ~ 6 yds
Long = 7 ~ 10 yds
Very (Extra) long = 11 yds ~
※3rd &1や4th & 1などの1 ydを別に考えるコーチもいます。選択するPlayが2,3 ydsの状況と違うのかとかそういう理由で分けています。
Early Down
いわゆるBase Playを使う場面です。メインとするランやパスで進みます。できることならEarly Downのうちに次々とチェーンを動かしていきたいところ。なぜなら、ランとパスのどちらが来るかディフェンスは読みづらいからです。3rd & Longの状況を想像してみてください。フレッシュを獲得するためにはほぼパスしか予想されません。逆に3rd & Shortまでなら常にオフェンスがプレーの選択権を握ることができます。
1st down
試合中に最も多く発生する状況です。攻守交代や前半後半の開始時、1st Downの更新など、しょっちゅう見かけます。その分、最も多くPlayの数を準備しておく必要があります。ランやPAP、RPO、Quick Passなどさまざまなバリエーションを持っておく必要があります。また、ドライブ最初の1st & 10をP (Posession) & 10と呼ぶコーチもおり、P & 10がそのドライブの成否を分けると考えられています。
2nd down
2nd downはまだnormal downのうちに入ります。
3rd Down
3rd Downは、実質的にここでコンバージョンしなければ、パントし相手へ攻撃権を渡すか、FGを蹴るなりするシチュエーションです。ここを安定してコンバージョンできれば、試合に勝てる確率はグッと上がります。優秀なチームは肌感覚で50%以上の成功率を記録している印象です。しかし、それも残りヤード数によって難易度は異なります。3rd & 1ならほぼ更新可能、一方で3rd & 15なんかは絶望的な状況です。
概ね3rd & Short ( 1-3 )、3rd & Medium ( 4-6 )、3rd & Long ( 7-10 )、3rd & Extra Long ( 11+ )に分けられます。Shortの中でも3rd & 1は別に考えるコーチもいます。今回は一応、3rd & 1は分けておきます。
3rd & Extra Long ( 11+ )
反則やTFLを食らった最悪の状況です。この状況からコンバージョンできる可能性は低いです。コンバージョンするためには最高のプレーコールと完璧な実行が必要です。
3rd & Long ( 7-10 )
3rd Longが残っているという状況は、基本的にEarly Downで失敗したということです。ここでそのツケを払う必要があります。しかし、この距離をコンバージョンできるチームの勝率は高くなります。
3rd & Medium ( 4-6 )
early downで失敗したとも成功したとも言い切れないシチュエーションです。これをフレッシュ獲得できれば成功しているオフェンスといえます。
3rd & Short ( 1-3 )
確率的には簡単にフレッシュを獲得できる距離ですが、プレッシャーも激しいシチュエーション。フィジカルな勝負になりやすくもあります。
4th Down
3rd downの項目でも書きましたが、状況によっては4th downをプレーすることもできます。代表的なシチュエーションは、リードされている中での試合終盤、敵陣に入ったはいいもののFGを狙うには遠すぎる陣地などです。ただし、プレーするかどうかにはさまざまな要素を考慮する必要があります。
4th & Extra Long ( 11+ )
1st downを更新するのが非常に難しいシチュエーションです。素晴らしいプレーと実行が求められます。失敗すれば即ターンオーバー。気をつけるべきことは、3rd & Extra Longとほぼ変わりません。ただし、失敗すれば相手にボールを渡してしまうだけです。
4th & Long ( 7-10 )
先ほどと同様に厳しい状況ではありますが、extra longほど絶望感は大きくありません。intermediateを狙ったパス一発で更新できる距離です。レッドゾーンに入ったはいいものの、キッカーに信頼がない場合や試合終盤にリードされている状況でもなければチャレンジすることはないシチュエーションです。
このほかは3rd & longと同じような印象です。
4th & Medium ( 4-6 )
アナリティクスの進歩に伴い、一昔前と比べてギャンブルする機会が増えています。フィールド中央でパントするくらいならドライブを継続するチャンスに賭けてみるのもひとつの手です。こちらも3rd & mediumと同じことに気をつければ良いです。
4th & Short ( 1-3 )
フィールド中央から敵陣にかけては当たり前のようにギャンブルする機会を見るようになりました。
3rd & shortと同様ですが、4th downは失敗が許されません。ターンオーバーとなればモメンタム(あまり信用していないが、試合の流れが変わるような気もする)が一気に相手に傾いてしまいます。なんであれ、簡単に相手へボールを渡すと相手に得点チャンスを与えることになります。
こちらのシチュエーションも3rd & shortと同様です。
時計
時計もプレーコールに大きな影響を与える要素です。前半と後半は時計がゼロになった瞬間、それまでのドライブは関係なく試合が途切れるか終わってしまいます。リードされているチームは逆転を狙わなければなりません。勝っているチームも後半は負ける可能性を潰しながらうまく時間を消費する必要があります。このため、2 minutesはパスが多くなり、4 minutesはパスが増えます。
2 MinutesとEnd Game
どちらも残り時間が少ない状況です。前半と後半でまた状況は異なります。いずれにせよ、早くセットしなければなリマせん。そして、反則やサックは致命的です。
2 Minute
先ほども言いましたが、前半と後半は時計がゼロになった瞬間、それまでのドライブは関係なく試合が途切れるか終わってしまいます。この急いで得点する必要がある状況を2 minuteといいます。
いつ時計が止まるのか頭に入れておいてください。最近はNFLに加えてCFBの2 minute time outがあります。残り2分ぴったりまたは2分より前にプレーを始めた場合はそのプレーが終わった直後、時計が止まります。
できる限り外へ出ましょう。サイドラインを割れば時計が止まります。そのためにボールキャリアーはサイドラインを目掛けます。関連して、サックは状況を著しく悪化させます。QBにとって重要なことはサックよりパス失敗する方がマシだということです。
得点状況にもよりますが、前半の2 minuteはFGでもTDでもOK。なにかしら得点すれば成功です。対して後半は負けているチームだけが考えることとなるため、逆転または同点に追いつくのに必要な得点を頭に入れておく必要があります。2ポゼッション以上の差がついている場合はTD後にPlayかFGかも考慮しなければなりません。また、自チームがタイムアウトをあと何回使えるかも覚えておくこと。常に1st down更新を狙いましょう。Down & Distanceも頭に入れておくのを忘れずに。
End Game
試合終了間際、残り1分を切るような時間帯で、なおリードされている状況のことです。2 minuteより逼迫した状況です。
Field Position はどこ?Red Zoneにいるのか否か、状況を理解する必要があります。また、FGでいいのか、TDが必要なのかも重要です。
ReceiverをとにかくEnd Zoneに送り込んでHail Maryを投げるのか、Lateral Passでつないでいくのか、残りの距離とQBが投げ込める距離を考慮しましょう。
また、FGで逆転できる場合、確実に成功できるであろう位置まで進んだら後は時計を流して蹴るだけ。
4 Minute
4Qに入り、リードしている状況でボールを長く保持し試合を畳みたい状況が4 minuteです。つまり、フィールドの外へ出てはいけないわけです。ターンオーバーは逆転負けにつながります。なんとしてでもボールを確保し続けることが最重要です。injury time outももったいない。可能な限り自分でフィールドから出ましょう。
ニーダウンできるタイミングは?
相手にタイムアウトがなくなり、自分たちの勝利が確定した後は、時計をゼロにするためQBが膝をつきます。それがニーダウン。Vの字、いわゆるビクトリーフォーメーションを組む時です。では、いつニーダウンできるようになるのか?それは相手に残されたタイムアウト数によります。1st downを想定すると以下の通りとなります。
0 TO = 2:00以下
1 TO = 1:20以下
2 TO = 0:40以下
まとめ
これまで説明したことを考えると、実は特定のシチュエーションを想定したプレーはそこまで多くないことがわかります。2 minuteやShort Yardage、End Gameくらいで、あとはBase Playを使えばいいのです。それに多くの状況で言えることは、プレーの数よりフォーメーションやシフト、モーションのバリエーションを生かした方がいいのです。


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