こんにちは。
前回は4-3ディフェンシブフロントについて学びました。
今回はもう一つの有名なディフェンシブフロント、3-4について学びましょう。
ぼくは2010年ごろのNFLを熱心に見ていたので、ピッツバーグ・スティーラーズやボルティモア・レイブンズの強い3-4に憧れたものです。
4-3とは全く違った特徴を持っており、求められる能力も違います。
では早速見ていきましょう。
3-4 Okie(3-4 オーキー)
アラインメント
バブルとは、DLとOLBで埋めきれていないOLまたギャップのことです。
この場合は両Gがバブルとなっているので、マイクとジャックはそのバブルを埋めます。
人によってはDEのアラインメントが4iのものがオーキーフロントだとすることもあります。
アメフトってのはチームや人によって違うことを言うことが多い。
これが困る。
ギャップフィット
3-4オーキーは、オールドスクールな3-4システムで、3-4といったらこれという感じです。
4-3との最大の違いはギャップフィットです。
2ギャップディフェンスと言われ、1人が2つのギャップを担当します。
2ギャップとなっている選手は、プライマリーギャップを負担しながらもうひとつのセカンダリーギャップも守ります。
例えば、上の図のようなアウトサイドゾーンをオフェンスが展開したとします。
すると、ディフェンスはこのようにギャップシュートします。
途中でRBがカットバックした場合、右のDEはプライマリーギャップからセカンダリーギャップへ切り替えます。
2ギャップディフェンスはこんな感じでOLを支配することが求められます。
ウィルはカットバックやQBブートを処理します。
リバースが来たときもウィルの担当です。
メリット
単純にLBの数が多いということは、パスカバーの人数も多いということになります。
一般的には3-4のチームも4メンラッシュが多いですが、場合によっては3メンラッシュでパスカバーに4人のLBを送ることもあります。
4-3とは違ってパーソネルを入れ替えることなくそれが可能です。
また、ブリッツの幅も広がります。
1人のLBをブリッツに使うことが多い3-4は、4-3より誰がブリッツに入るか分かりにくい状況を多くつくりだすことが可能です。
バブルとなっている両GをLBに直でブロックさせないためにスタンツを色々使えることも大きな強みです。
ブリッツと同じように3-4では、プレスナップの状態からどのような動きをするか読みにくい。
1線目に並んでいる5人を複雑に動かすことで、ILBにタックルさせます。
デメリット
メリットのスタンツについて説明したときの裏返しです。
ILBが両Gに直でブロックされる可能性が高い。
弱点を補うためにスタンツを駆使すると言っても過言ではありません。
DLは4-3と全然違う能力が必要です。
4-3ではスピードとクイックネスを生かしたペネトレートが求められるのに対し、3-4オーキーのDLにはブロッカーを抑えて適切なタイミングでブロックを外しタックルする能力が必要です。
3-4向きの人材を揃えなければ運用は夢のまた夢。
3-4 Eagle(3-4 イーグル)
アラインメント
オーキーとの違いはDEとサムのアラインメント。
DEは4iに、サムは6-テクにセットします。
ギャップフィット
NTはプレイサイドのAギャップが責任ギャップとなります。
マイクとジャックは基本的にAギャップ、スクレイプは以前オプションの回で説明したとおり。
サムだけが2ギャップとなります。
基本的には1ギャップの3-4システムです。
メリット
1ギャップシステムのため、DEはBギャップのみに集中できます。
つまりGがプルするようなプレイ、パワーなどではインサイドからDEが追いつきやすいということです。
4iにセットすることで、OTに対して位置関係ですでに有利な状態ですのでカットオフブロックも効きにくい。
こちらもDEが4iにセットしているがゆえのメリットです。
DEがG、OTにダブルチームを強いることができます。
先ほどの位置関係の話からOT1人ではBギャップを漏らしやすい。
つまり、ダブルチームとなるわけです。
そうなるとILBがフリーで動けるため、インサイドのランプレイは通用しにくくなります。
RBが外に逃げてもOLBがいるのでランプレイにはめっぽう強くなります。
デメリット
サムだけが2ギャップディフェンダーのため、負担がデカい。
ランディフェンスではC/Dギャップ、パスディフェンスではカバーの責任を負うことになります。
もし、サムをエッジラッシュに使うならフラットがスカスカになりやすい。
両エッジはそれぞれ責任ギャップがあります。
それをほったらかして2 by 2のスロットレシーバーやTEのマンカバーはできません。
3-4 Under(3-4 アンダー)
アラインメント
一見すると、4-3アンダーとの違いはありません。
DEに2パターンのアラインメントがあることが違うくらいです。
あとはパーソネルが違うので、贔屓のチームが普段どのシステムを使っているか知っていれば、4-3か3-4のどちらかが分かります。
ギャップフィット
左のDEはアラインメントによって責任ギャップが変わります。
3-テクにセットしている場合はBギャップのみ、2-テクにセットしている場合はAとBの2ギャップとなります。
ジャックのフィルというのは穴埋めということです。
LDEが2-テクにセットしている場合、明確な責任ギャップは無くなります。
誰かが空けてしまったギャップを拾うのが主な役割です。
LDEが3-テクにセットしている場合はAギャップを守ります。
メリット・デメリットは多分4-3アンダーと同じような感じだと思いますが、正確には分からない。
知ってる人がいれば教えてください。
3-4 Tite(3-4 タイト)
アラインメント
イーグルとよく似たフロントです。JackとSamのApexは今風の言い方で、スロットレシーバーにマッチする外から2番目のアンダーニースにセットする選手のことです。
ギャップフィット
完全な1ギャップスキームとなります。このフロントのキモは両DEです。4iにセットしてBギャップを詰めることで、ボックスを絞り上げます。Squeezeと言いますが、これにより昨今のZoneヘビーなスプレッドオフェンスに対応するわけです。AギャップをフィットするWillはRBをバウンスアウトさせる役割です。そしてEast-WestにバウンスアウトしたRBを食うのがMikeの役割です。このため、MikeがCギャップという昔ながらのディフェンスと違う責任を担います。
ちなみにSamはランに対する責任はありません。通常Niなどを配置することが一般的でしょう。そしてRPOのパスを守らせることが可能となります。
メリットは先ほども述べたとおり、スプレッドオフェンスに強い。デメリットまではまだよく分かっていません。単純にヘビーなフォーメーションには弱そうに見えますが、また調べておきます。
特に重要なポジション
OLB
3-4ディフェンシブフロントのプレミアポジション。
ある程度のパスカバーとエッジでのコンテイン、しゃかりきにラッシュできる能力が求められます。
T.J.ワット(T.J. Watt)が現在最高の選手でしょうか。
あとはことしのドラフト全体1位指名のトレイボン・ウォーカー(Travon Walker)も注目です。
5-Technique DE
OTを1人で支配できる能力、スペースを潰す能力が必要です。
2ギャップと1ギャップどちらのシステムでも活躍できるバーサタイル性も不可欠。
3-4の話になるとスティーラーズばっかりになってしまうけど、結局キャメロン・ヘイワードが現段階では最強なんだと思います。
NT
フィールドで1番デカい選手。
誰にブロックされても押されない、何人来ようが負けない、ディフェンスのアンカーとなる男です。
個人的には3-4システムで最も重要なポジションだと思います。
NTが弱ければ3-4なんかやってはいけません。
ケニー・クラーク(Kenny Clark)とビタ・ベア(Vita Vea)はぼくが注目している選手。
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