こんにちは。
以前、さまざまなカバレッジの基本について学びました。
その中でもマンカバーとゾーンカバーが分かれていることを説明しました。このうち、今回はCover 1について深掘りしていこうと思います。
というのも、Cover 1はディープを守るSが1人に対してアンダーニースには6人います。オフェンスはOLとQBを除いて、有資格レシーバーが5人です。ということはアンダーニースの1人が余ることとなります。この1人の枠を使っていろいろなことができるのがCover 1のメリット。
今回はCover 1の基本をおさらいしながら、以前にも紹介したものを含めて新たなものも交えてさまざまなバリエーションを学ぼうと思います。
Cover 1の基礎
これが基本の役割。そして、ディフェンスはレシーバーのOutside Shadeにセットします。これも以前説明しましたが、真ん中でHoleとDeepを守るMikeとFSにヘルプしてもらうため。内側からヘルプがいる真ん中へ注ぎ込むようにマンカバーすることをFunnel(ファンネル)とか言ったはず。ちなみにFunnelの日本語は漏斗(じょうご)です。
図を見てもらえれば分かるようにMikeはHoleを埋めるPluggerという役割を担っています。主にアンダーニースのクロスルートをぶっ飛ばすために存在しています。まあ、一般的にアンダーニースのHoleを埋めるCover 1はCover 1 RobberとかCover 1 HoleとかCover 1 Lurkと言います(チームや人によって呼び方はさまざま)。ここでは便宜上、このCover 1をHoleとしておきます。この枠を使っていろいろなことができるのがCover 1の良いところ。
ほかにSamとWillはRBがパスプロした場合、ブリッツするかパスドロップするかします。それはチームの方針次第。RBのパスプロを合図にパスラッシュするブリッツをGreen Dogと言います。
ちなみにWRが大外のサイドライン際Plus Splitにアラインしている場合、CBはInside Shadeにセットします。これはPlus Splitから外へリリースするのはFadeとComebackルートしか走らないからです。それならサイドラインへ押し出してしまえばいい。それよりもSlantとかのインサイドリリースするルートを潰した方が良い、ということでInside Shadeにセットするわけです。
M/Mのマッチアップとなるため、基本的にはバランスが取れていますが、選手の能力に依存しがち。また、不利なレバレッジは解消されないので、フィールドを大きく横切るようなルートには弱めです。
Cover 1のバリエーション
Cover 1 Robber
先ほど説明したアンダーニースのHoleをSSが埋めています。片方のSAFがHoleを埋める場合、Robberと言います。(人によってはこれをLurkと言う)
役割は先ほどのベースカバーと同じですが、TEをカバーするのはLBです。また、先ほども述べたとおりMikeの代わりにSAFがHoleを埋めます。
メリットはディスガイズしやすいこと。プレスナップの状態は2 Highの状態なので、Cover 2やCover 2 Man (Cover 5)、Cover 4などのMOFO(Middle Of Field Open)のカバーに見せかけることが可能です。Cover 1はMOFC(Middle Of Field Closed)の分類に入るので、オフェンスがカバーを読み間違ってくれればインターセプトしやすい。それとアンダーニースのクロスルートもLBよりキレイに潰しやすい。スピードがあるからね。
デメリットはTEとのミスマッチが発生すること。体格自体はTEとLBでさほど差はありませんが、前に走ってくるTEと後ろに下がるLBではスピードのミスマッチが発生して抜かれやすい。FSはTEとLBのマッチアップに注意する必要があります。
Cover 1 Dog
Holeを埋める代わりにLBがブリッツします。DLのスタンツはテキトーにつくりましたが、このようにDTとDEがクロスするTEX Stuntsを挟めばLBのブリッツレーンはキレイに空きやすい。
Cover 1はNFLだろうがカレッジだろうが、日本だろうがどのチームでも使いますが、RobberとDogがメインの使い方だと思います。マンカバーもミドルディープも守らない1人をパスカバーに充てるか、パスラッシュに充てるかの違いです。
メリットはもちろんパスラッシュがかかりやすいこと。図に描いたとおり、スタンツと組み合わせればサックしやすくなります。
デメリットはHoleです。もしCBがSlantを走るWRにぶち抜かれた場合、ただのSlantがビッグゲインになってしまう可能性があります。だからブリッツの仕方は工夫が必要です。
DogとGreen Dogの6人ラッシュ。
Cover 1 Storm
Dogとは違ってSAFがブリッツします。別にSAFのブリッツをStormブリッツというわけではありません。Storm Blitzは別に4-4の体型から使うものがあります。大外からブッ込むブリッツはFireというのが一般的。ただ、海外の有識者がこう呼んでいたからそのまま踏襲しているだけです。
Dogと違うのはブリッツに入るのがLBかSAFかということです。SAFの方が速いので、スピードで捲ってしまえというときには有効です。
Cover 1 Dbl
Cover 1 Dbl(ダブルと読む)です。要はダブルカバーです。CB1人では手が付けられない!そんなWRはNFLにもちょこちょこいます。そういう不届き者をなんとか押さえ込んでやろうというカバーです。ほかのマンカバーは何も変わりません。
ダブルカバーはBracketといい、1人のレシーバーをIn/Outで守るかHigh/Lowのどちらかで守ります。In/OutはCone、High/LowはDogとか呼ぶ人もいます。この図の場合はXのレシーバーをダブルカバーしていますが、TEだったりZでもオッケーです。とにかく相手のレシーバーとのマッチアップで不利な相手をダブルカバーするためのものです。
メリットはそりゃもう相手のエースをゲームから消したり、自軍の不利を解消することです。たまにダブルカバーをものともしないレシーバーが現れますが、そのときはもうお手上げ。
Cover 1 Spy
なんだかCover 1 Holeと似ていますが、Mikeの役割がちょっと違う。彼はSpyという役割を担います。
Spyは、QBのお目付役です。最近、NFLでもよく走るふざけたQBが増えましたね。スクランブルで猛烈にゲインされまくると大体のディフェンスはSpyを置きます。Spyは特にパスカバーの責任を負いません。その代わり、QBがスクランブルしたら一目散に仕留めに向かいます。
メリットはよく走るQBを黙らせられること。QBへのヒットはかなり厳しく反則を取られる昨今、Maddenで言うところのHit Stickみたいなタックルはできなくなりましたが、余計なゲインを抑えられるのは重要です。ただし、最近の走れるQBはホントに走れる!LBなんか置き去りにするほどのスピードとクイックネス、アジリティでディフェンスをあざ笑うかのようにビッグゲインを稼ぎます。だからLBにもスピードが求められます。
Cover 1 Jump
以前のマンカバー編で説明したので、あっさりめに説明します。この状態は特に変わったことはありません。
ところがGlideまたはDivideモーションによってレシーバーがフォーメーションに近づいたとします。GlideモーションをするということはCrackブロックやクロス系のルートが考えられます。
すると、このように役割分担します。別にDeepに下がるのはCBでもFSでも良いと思います。
メリットは不利なレバレッジを解消できること。なにがなんでもCBが付いていくっていうのは場合によっては厳しい。特にDriveルートなどはアウトサイドレバレッジをキープするCover 1ではどうしても守れません。想像してもらえれば分かると思います。レシーバーの右側にセットしているCBが左に横切るルートはどう考えても追いつかない。たまに追いつくヤツもいますが。
Cover 1 Cross
Cover 1そのものの弱点を解消するCover 1 Cross。No.3レシーバーのディープクロスを受け渡します。
Cover 1はレバレッジの関係からNo.3レシーバーのディープクロスに弱い。Holeを守るのがMikeだろうがSAFだろうが自分の裏を超えてディープに流れるのは位置関係的にカバーできない。マンカバーのDBなりLBもレバレッジの関係から追いつきにくい。じゃあRobberのSAFとフィールドの真ん中で受け渡せばいいじゃん!という守り方です。受け渡すことを“Cut”と言うらしい。
メリットは先ほども述べたとおり、Cover 1の弱点を潰せます。
デメリットは、これをできる人間がこの世にどれだけいる?ということ。NFLではペイトリオッツやブロンコスが使うことは知っています。そのくらいレベルが高くてしっかりコミュニケーションが取れないとこなせないカバーです。
ちなみにSSがCutする場合をCover 1 Robber、FSがCutする場合をCover 1 Thiefと呼ぶ人もいます。
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