こんにちは。
今回からディフェンスの基礎知識に移ります。
オフェンスだろうがディフェンスだろうが、フットボールってのはフロントが最重要ポジションだと思っています。
フロントがどう働くか分かってからカバレッジの話に入っていきます。
というわけで、まずは4-3ディフェンスのフロントから。
大体の人はアメフトを始めると最初に習うディフェンスではないでしょうか?
経験者の方にとってはあまりに基本的なことかもしれませんが、おさらいしておきます。
Technique(テクニック)とGap(ギャップ)
ディフェンスのフロントを学ぶ前にテクニックを知らなければなりません。
テクニックってのは、技術のことではなくDLやLBがセットする位置、アラインメントのことです。
ギャップは、OLとOLの間、正確に言えばブロッカーとブロッカーの間のスペースのことを言います。
ギャップはホールとも言います。
サイトによっては「オフェンス側がホール、ディフェンス側がギャップと言う」との説明もありましたが、細かいことは気にしなくてもいいと思います。
どちらでも通じるので。
さて、図を交えて説明します。
まず、テクニックについて。
OLの上に書いてある数字がテクニックを表します。
内から順に0から9まであります。
0、2、4、6は対面するOLの正面、その両側の番号はOLのどちらかの肩を正面に捉えるようにセットします。
例えば、3-テクニックはGの外側の肩が正面にくる位置のことです。
逆に2iはGの内側の肩が正面となります。
Cの両シェードは1-テクとする人もいます。
この番号に従ってDLやLBはプレイが始まる前にセットします。
なぜ2iや4iなどの中途半端な番号が割り振られているのか、なぜ6iではなく5iなのか、なぜ8がないのかは分かりません。
知ってる人いたら教えてください。
次にギャップ。
こちらは内からアルファベットのA、B、Cと表します。
TEがいる場合、彼の外側はDギャップとなります。
ディフェンスのフロント7、場合によってはDBも各自のギャップを潰す責任を負うことになります。
Open Side(オープンサイド)とClosed Side(クローズドサイド)
オープン(ウィーク)サイドとクローズド(ストロング)サイドは簡単に言うとTEがセットしているか否か、人数が多い少ないサイドを表す言葉です。
TEがいるサイドをクローズドサイド、いないサイドをオープンサイドと言います。
TEがいない場合はCを境に人数が多い方をクローズド、少ない方をオープンサイドとします。
両側にTEがセットしているような左右対称のオフェンスフォーメーションの場合はチームごとの判断となります。
3 by1のシングルサイドがTEの場合は、TEがいるサイドをクローズドサイドとします。
適当にカレッジフットボールのスプリングゲームで集めたアサインメントを使って見ていきます。
これは右側、つまりディフェンスから見て左側がクローズドサイドです。
この場合はディフェンスから見て左側をクローズドサイドとしています。
これもディフェンスから見て左側がクローズドサイド。
4-3 Over(4-3 オーバー)
アラインメント
DLについて特に疑問はないかと思います。
4-3オーバーではNTがオープンサイドの0-シェードか2iにセットします。
DTはクローズドサイドの3-テクニックです。
よく4-3のDTのことを3テクと言いますが、このアラインメントから来ています。
LBのTan-Zero-Tanとは、Tackle – Zero Technique – Tackleのことです。
TackleはOT、Zero Techniqueはそのまま0-テクのことを表します。
ギャップフィット
それぞれがひとつずつギャップを担当します。
このため、4-3フロントは1ギャップディフェンスと呼ばれます。
1ギャップディフェンスではスピードとクイックネスが重要です。
素早くペネトレートしてキャリアーを仕留める。
このため4-3はスピード派のディフェンスと習った記憶があります。
メリット
非常にバランスの良い4-3ですが、海外サイトによるとアラインメントの関係でクローズドサイドのランに強いとか。
おそらく、クローズドサイドのギャップを負担するLBが2人いることを指しているのだと思います。
DTがダブルチームを受け止めてくれるので、サムとマイク、特にマイクがタックルしやすくなります。
デメリット
メリットの逆です。
オープンサイドを守るLBはウィル1人だけです。
たった1人のLBでオープンサイドを守るためにスピードやアジリティ的な身体能力はほかのLBより求められます。
それでもマイクがフォローしてくれるのでそこまで厳しいデメリットではありません。
4-3 Under(4-3 アンダー)
アラインメント
4-3オーバーとの違いは、DTとNTの位置が反転していることです。
オーバーではオープンサイドにNTが、クローズドサイドにDTがセットしていました。
サムも1線目に上がっています。
マイクとウィルはDLとサムが埋めきれていないギャップ、バブルを埋める位置にセットします。
ギャップフィット
ギャップ負担を簡単化すると、DLを反転させて、LBをクローズドサイドにひとつずらしたと思ってもらって結構です。
これはウエストバージニア大学がスプリングゲームで使っていたディフェンスです。
これを見れば先ほどの意味が分かると思います。
サムがエッジにセットすればよく見る4-3アンダーの完成です。
メリット
4-3オーバーならGとTにダブルチームを受けることもありますが、アンダーならほとんど1 on 1の戦いとなります。
強力なDTがいればただでさえ脅威となるのに、1 on 1となればオフェンスにとって最悪の状態をつくりだすことができます。
パスラッシュはかなりの脅威です。
DLを5人にしているわけではないのでカバーは4-3オーバーと同じくなんでも使えます。
デメリット
4-3オーバーと違いランプレイではマイクの役割に近くなります。
4-3はマイクにタックルさせるスキームです。
ウィルのランストップ能力が低ければカットバックをタックルできずロングゲインを稼がせてしまいます。
このため、SAFをボックスに上げてランサポート要員とさせる場合もあります。
クローズドサイドのエッジにセットするサムは自分の外側にキャリアーを行かせてはいけません。
加えてパスカバーのときはTEを邪魔しながらパスカバーに下がらなければなりません。
的確で素早いリアクションとフィジカルが必要となります。
特に重要なポジション
DT
4-3におけるプレミアポジションです。
スピード・パワー、サイズ、フィジカル、テクニックを併せ持つスーパーDTがいればオーバー、アンダーどちらでも活用可能です。
アーロン・ドナルド(Aaron Donald)なんかはパーフェクトフィットね。
ドナルドばかり持て囃されますが、ぼくはデフォーレスト・バックナー(Deforest Buckner)も好きね。相当破壊力ある。
Open Side DE
長い手足、柔軟な身のこなし、カットバックを拾える視野の広さとプレミアラッシャーとしての能力が求められます。
オープン・クローズドの両サイドやっていましたが、ジョーイ・ボサ(Joey Bosa)、ニック・ボサ(Nick Bosa)兄弟なんかは適任です。
Will ‘Backer
フロント7のスーパーアスリートである必要があります。
オープンサイドはプレイの展開が早いので、スピード・クイックネス、カットバックを仕留める正確性があれば完璧。
ダリアス・レオナード(Darius Leonard)とかラボンテ・デビッド(Lavonte David)が良いよね。
Mike ‘Backer
試合で1番タックルしなければならないポジション。
また、ディフェンスのリーダーとして指揮しなければなりません。
最近ではフィールドの端から端まで守れる広い守備範囲が特に求められます。
フレッド・ワーナー(Fred Warner)はその特徴を満たす当代最高のマイクです。
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