フットボール教室 – 奥深きカバー4の世界

こんにちは。

前回はゾーンカバーについて紹介しました。

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今回はそのゾーンカバーで紹介したカバー4についてさらに学ぼうと思います。
前回のブログでカバー4は、単なるプリベントディフェンスではないとお伝えしました。
今回はなぜプリベントディフェンスではないのか、実際にどのように守るのかを見ていきます。
久々にNFL 101のお世話になります。

目次

最近のNFLやCFBでのカバレッジの考え方

最近のNFLやカレッジフットボールはパス全盛の時代です。
もはやランが勝敗を決する時代は終わっています。
できる限りパスで効率よく得点を稼ぐチームこそチャンピオンシップに進みます。
そうした多彩なルートコンビネーションに対応するためにはカバレッジも進化しなければなりません。

いまのカバレッジの考え方は、外から何人目のレシーバーに誰が対応するか、どのように対応するかが重要です。
同じオフェンスのフォーメーションで、同じカバレッジでもルートコンビネーションによって守る担当が変わります。
No.1、2、3レシーバーが走るルートに合わせてディフェンスもCB、SAF、OLB(NB)、ILBがコミュニケーションをとりながら守らなければなりません。
こうした守り方にはパターンマッチカバーやゾーンマッチカバー、マンマッチカバーと呼ばれるものがあります。

ちょっとわかりにくいですが、これから実例を交えて説明します。

ベースカバー

CB:ディープの1/4
SAF:ディープの1/4
OLB、NB:シームtoフラット
MLB:フックゾーン

まずはベースカバーのおさらい。
基本的にDBの4人がディープを4分割するカバレッジです。
アンダーニースの3人のうち、OLBやNBはシームルートにかぶるような下がり方をするか
これだけならただのプリベントディフェンスです。

Cover 4 “Lock”(カバー 4 ロック)

まずは999ルートとのマッチアップについて。

999ルートとはこんな感じのルートです。
3人が9番(フェード、シーム)ルートを走るから「999」です。
右サイドのNo.3レシーバーが斜めに走り込むため、SS泣かせなルートコンビネーションとなっています。

999だけでなく、3 by 1のフォーメーションは人数バランスが悪いので、左右均等に割り振るのは具合が悪い。

ということで、上の図のように守ります。
左のCBが「LOCK」コールをすると3 by 1に合わせた役割に変化します。
左のCBはLOCKコールにより、完全にXレシーバーと1 on 1の勝負となります。
これでFSは右側のNo.3レシーバーをリードすることができます。
右側はCBがディープの1/4ですが、999の場合はNo.1レシーバーとの1 on 1。
SSはNo.2のシームルート、FSがNo.3のディープオーバーを担当します。

Luke Braun氏のTwitterより

ちょうどいい動画を見つけたので、こちらで紹介します。
自分でも引用リツイートしましたが、そのときは間違っていたのでこちらで改めて紹介します。
動画のプレイは999ではありませんが、同じような役割変更となっています。
元ツイートのスレッドを見ると「ソロ」コールでクラウドになったとありますが、実際の動画を見ると右のCBはNo.1レシーバーのディープについてきています。
とにかくNo.3を守るFSの役割は同じことです。

Cover 4 “Cut”(カバー 4 カット)

次は「CUT」コールについて。

これはHi-Lo Crossersというルートコンビネーションです。
CUTコールは3 by 1セットで、シングルサイドのレシーバーがナスティスプリットにセットしており、ドライブやアクロス、オーバーといった真ん中を横切るルートが予測されるときに使うコールです。

これが実際の守り方。
CUTコールはLOCKとかSOLOコールのFSが担っていた役割をCBが担当します。
これにより、FSはXレシーバーのドライブルートを潰しに行きます。
その代わり、左のCBはFSの代わりを務めます。
今回の場合はNo.3レシーバーのディープオーバーを担当します。

Space Coyote氏のTwitterより

こちらもツイッターでちょうどいい動画がありました。
途中でFSがドライブルートのカバーに向かっていることが分かると思います。

Cover 4 “Box”(カバー 4 ボックス)

続いては「BOX」コール。
BOXコールはバンチフォーメーションのときに使います。

これはスポットというルートコンビネーションです。

スポットにBOXコールをかけるとこうなります。
BOXコールは、3人のレシーバーに対し4人のディフェンダーで守るアジャストです。
NBはアンダーニースのアウトパターンを、マイクはアンダーニースのインパターンを守ります。
CBはディープのアウトパターンを、SSはインパターンを担当します。

同じようにバンチからNo.2レシーバーがシームルートを走って、左サイドのTEがドライブを走る場合は、シームをSSが、ドライブをマイクが潰します。

アンダーニースとディープを2人ずつで守るマッチシステムであれば、どんなコンビネーションでも負けることはないということです。

Cover 4 Push(カバー 4 プッシュ)

「PUSH」はレッドゾーンで使うことが多いとのこと。
プレスナップ時にPUSHコールがかかるとSSはオープン(ウィーク)サイドに展開することが可能です。
ただし、TEをリードしてから。
TEがブロックしたりアンダーニースのパスコースに出たら、SSは通常どおりクローズド(ストロング)サイドのカバーをします。
TEがディープに入ってくるとSSはオープンサイドにお出かけ。
No.3のシームやNo.1のスマッシュをカバーします。
ゴール前は混み合っててカバーしやすいし、QBはバックサイドのSAFを気にしてないからインターセプトしやすいらしい。

Cover 4 Zorro(カバー 4 ゾロ)

最後のバリエーションは「ZORRO」について。

今回対象となるのはシザーズというコンビネーション。
ディープでNo.1とNo.2レシーバーがクロスするポスト-コーナーのプレイとなります。
通常のカバー4だとSSがコーナーを、CBがポストを不利な位置関係(レバレッジ)で守ることになってしまいます。

ZORROコールがかかるとこんな感じに守ります。
ポストとコーナーはそれぞれ受け渡します。
これで有利なレバレッジを生かして守ることができるのでディープは安泰です。
この場合の弱点はフラットです。
追いかける不利なレバレッジとなるのでNBは全力疾走。

カバー4の弱点

おしまいにカバー4の最大の弱点を紹介します。

Pinルートです。
一度ルートコンビネーションのときに説明しました。

SSはNo.2レシーバーのディグに引っ張られるので、CBはNo.1レシーバーとのマッチアップとなります。
コーナーに振ってからポストに入るので位置関係はなおさら不利になります。
内側のSSからのヘルプもありません。

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • めちゃくちゃ勉強になります。
    一点質問ですが、プレスナップでコールがしなかったら普通のカバー4の考えということなのでしょうか?
    例えばロックコールしていたらNo,1担当はdriveルートでもついていくものなんですか?
    わかれば教えてください

    • コメントありがとうございます。
      実際の試合でどのように運用しているかぼくも正確には分かりません。
      ただ最近のcover4はゾーンマッチカバーという色合いが強いです。
      オフェンスの体型によってルールを決めておき、プレイが始まったらディフェンダーは自分がマッチアップする、もしくはリードする対象の選手の動きを見て対応します。
      パスパターンによって自動的に守り方を変えるはずです。
      ロックコールであればdriveにもCBはついていきますが、アンダーニースにはLBもいるので、そこまで危険でもありません。

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