フットボール教室 – エアレイドオフェンス

こんにちは。

今回は久々にオフェンスのお話。
みなさんはAir Raid Offense(エアレイドオフェンス)をご存知ですか?
カレッジフットボール発のオフェンス戦術のひとつで、テンポよくパスでヤードをバリバリ稼ぐシステムのことですが、これが最近のトレンドとなっています。
まだ、NFLではあまり使われていませんが、近年のカレッジフットボールからのトリクルアップを見ると、今後NFLでも採用するチームが増えてもおかしくはありません。
エアレイドの盟主たるKliff Kingsbury(クリフ・キングスベリー)はアリゾナ・カーディナルスのHCなので、NFLにもその要素は取り込まれているはず。
(ぼくはここ数年NFLから離れてCFBにお熱だったので、最近のNFLはまだ分からない点が多いので情報不足はご了承ください)
昔のようにランで勝つ時代はすでに終わっており、パスで一気に大量得点するのがNFL、CFBの主流となっています。
となれば、今後のためにも知っておいた方が良さそうです。

ぼくも特徴は大体知っていますが、改めて海外サイトをいろいろさまよって勉強した結果を紹介します。

目次

Air Raid Offense(エアレイドオフェンス)の特徴

まず、おおざっぱな特徴から。

パスヘビー

とんでもなくパスヘビーな試合を展開します。
サイトによってパーセンテージはまちまちですが、試合全体の65 – 85%くらいがパスです。
パスコンセプトでは、フィールドを縦にも横にも広げることでディフェンスの人口密度を下げます。
これにより、QBのパスレーンにゆとりが生まれます。
そこまでタイトなパスは要求されません。

ほとんどランプレイはありません。
それでもインサイドゾーンとRPOはお得意のプレイです。

ショットガン

パスヘビーなオフェンスには当然、ショットガンと相性が良い。

4人以上のWRをセットさせる

10パーソネルが多い。
つまり、TEはあまり使いません。
身体能力に優れたWRを豊富に使うことは、ディフェンスを切り離すのに有利となります。
ルートコンビネーションでもパスを通しやすくしながら、選手の能力でもマッチアップに勝とうとします。
SAFやNBは先発CBほどWRとのマッチアップに優れていません。
大量のWRは能力面でのミスマッチをつくりだします。

OLの間隔が広い

普通のオフェンスと比べるとOLとOLの間隔が広く、2 – 3ヤード離れてセットします。
これはDLとQBの距離を少しでも遠ざける狙いがあります。
爆発力のあるエッジラッシャーも到達する前に投げてしまえば意味がありません。
OLには1 on 1で確実にプロテクションできる能力が求められます。

また、ギャップが広いことはランでも優位に働きます。
インサイドゾーンを主に使うエアレイドオフェンスでは、ギャップが広いとRBの走るコースが広がりやすいことにつながります。
LBのギャップシューティングレーンもシビアになります。

ノーハドル、ハイテンポ

エアレイドオフェンスの根本は「2ミニッツオフェンスをずっとやり続けたらどうだろう?」というMike Leach(マイク・リーチ)現ミシシッピ州立大学HCの考えから始まっています。
このため、ノーハドルでハイテンポにオフェンスを進めて一気に大量得点を狙います。
また、ハイテンポなオフェンスは、ディフェンスを疲れさせることができます。
基本的にディフェンスは相手のペースでプレイすることになり、オフェンスより疲れやすいのですが、加えてハイテンポとなるとかなりキツい。
パーソネルを入れ替えることもできないので、不利なマッチアップを解消することも難しい。

一方でハイテンポなノーハドルオフェンスは、味方ディフェンスも犠牲にします。
すぐにサイドラインに帰ってくるオフェンスと違い、味方ディフェンスはフィールドにいる時間が長くなりがち。

フォーメーション

次はエアレイドオフェンスでよく使うオフェンスを紹介します。
エアレイドオフェンスでは、シンプルな名前をつけます。
コーチは外から一言叫ぶだけでみんながすぐにそのフォーメーションにセットすることができ、テンポを崩しません。

Ace(エース)

普通の2 by 2セットをエースと呼びます。

Early(アーリー)

3 by 1のセットのことです。
No.3レシーバーがスクリメージラインに上がっています。

Late(レイト)

アーリーの逆です。

Empty(エンプティ)

よくあるエンプティ。
パスヘビーなエアレイドでは、このフォーメーションもよく使います。
エンプティでディフェンスがカバー2マンならマイクはRBにマッチアップするので、QBランもよく効く。

パスプレイ

最後にエアレイドオフェンスの代表的なパスコンセプトを紹介します。
すでにルートコンビネーションの記事で紹介したものが多いので、簡単な説明にとどめます。

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Mesh(メッシュ)

アンダーニースで肩がぶつかるほどの距離ですれ違うコンビネーションです。
マンカバーなら特によく効きます。
フィールドの真ん中に渋滞をつくることでディフェンダー同士をぶつけるピックルートとなります。
そこから空いたレシーバーに投げ込むだけ。

Shallow Cross(シャロークロス)

キモは真ん中のディグとドライブルート。
LBをハイアンドローで攻めます。
RBのスイングはディフェンスを横に広げる意図があります。
XとZのフェードとポストはSAFを縦に引っ張ります。

Vertical(バーティカル)

通称”4タテ”。
カバー2なら4人がフェード、カバー3なら両方のワイドアウトはカムバックします。

Y Cross(Y クロス)

左のスロットレシーバーのオーバールートがYクロスです。
ゾーンカバー、マンカバーともに有効です。
ゾーンなら受け渡しのシーム、マンカバーなら切り離したタイミング。
スクリメージラインから18 – 22ヤードの深さまで切り込むハイクロスと、12 – 14ヤードまでのロークロスがあります。

Mills(ミルズ)

ポストとディグの組み合わせがミルズです。
多分、Pin(ピン)と同じことだと思いますが、一応新しくつくりました。
ディグにSAFが引っかかればポスト、ポストに引っ張られるならディグという感じで、SAFをハイアンドローで攻めるコンセプトです。

Stick(スティック)

No.3レシーバーのルートがスティックです。
マンカバーならフラットに流れる、ゾーンカバーなら振り返るというシンプルなプレイです。
これを効かせるためにほかのレシーバーはディフェンスを縦と横に広げる役割を担います。

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