こんにちは。
タイトルから「アッパーなテンションのシチュエーション」みたいになってしまった。
モーションと一口に言ってもさまざまな種類があります。そして、そのモーションはただ単に選手を動かしているわけではありません。では、あなたはモーションがどのくらいの種類があって、どんな目的のためにどんな役割を果たしているか知っていますか?ぼくもほとんど知りません。
今回は代表的なモーションとその役割について学びましょう。
モーションとは
まず、モーションがどんなものか知らない人のためにもおさらい。
動画を見てもらえれば分かりますが、モーションとはボールがスナップされる前の選手の移動を言います。
そして、モーションにはいくつかルールがあります。
これらに反するモーションはすべてIllegal Motion(イリーガル・モーション)という反則をとられます。
モーションのバリエーション
さて、簡単にモーションの説明をしたところで、実際にどんなモーションがあるか、代表的な種類を紹介します。
※ぼくは正式なアサインメントを描画するソフトを持っておらず、「Keynote」というMacのパワーポイント的なソフトを使っているため、一般的にモーションを表す波線やギザギザの線を簡単につくることができません。そのため、モーションは破線で表すことにします。
Jet(ジェット)
真横に移動してフォーメーションに入ったところでスナップするモーション。代表的なプレイとしてモーションを説明した際に紹介したJet Sweep(ジェットスイープ)があります。スピードにのった状態でプレイを始めることができるため、ディフェンスを置き去りにできます。
Fly(フライ)
Jetとよく似ていますが、違いはフォーメーションを横切ってしまうこと。Zのレシーバーの場合はZoomとも言ったりします。マンカバーかゾーンカバーを見極めるときに使ったりすることがあります。
Glide(グライド)
フォーメーションに近づくが中に入ったり越えたりはしません。Crack Toss(クラックトス)でEDGEやOLBをクラックブロックしたり、TEやスロットレシーバーとスタックアラインの状態になってクロス系のルートを走るピックプレイなどに使います。Whipルートを走らせるのにも有効です。
In(イン)
フォーメーションの中に入るモーション。Jetとの違いはスナップ後に通り抜けないこと。ショートヤードが欲しい場面でエクストラブロッカーを後から足すために使ったりします。
Over(オーバー)
単純にフォーメーションの反対側へ移動するモーション。よくTEが使うモーションです。これもブロッカーを増やすために使うことがあります。あとはとんでもないエッジラッシャーがいる場合、パスプロのヘルプにも使えるかな。
Return(リターン)
行って帰ってくる。短い時間の間にディフェンスを何度もアジャストさせる効果があります。ディフェンスがどうせ戻ると思ってアジャストしなければそのままJet Sweepしてしまっても良し。ってことを前Twitterで教えてもらいました。
Exit(イグジット)
HBが外に出て行くモーション。パッと考えられる用途としては、ディフェンスがCover 2 Manを使っているとき、ExitモーションでEmptyにすれば、ボックスにはDLしかいなくなるので、QBランを出しやすいとかがあります。あとは単純にレシーバー扱いにさせることでどこかでミスマッチをつくりだすためというのも考えられます。
Orbit(オービット)
QBの後ろを通り抜けるモーション。ここからSwing Screen(スイングスクリーン)なんかを使えばレバレッジとスピード差を生かしたゲインが見込めます。
Rocket(ロケット)とLaser(レーザー)
Orbitとよく似ていますがQBの後ろを通らない。Exitとの違いは後ろに下がってるかどうか。右へのモーションがRocket、左へのモーションがLaser。用途はOrbitと似たような感じだと思います。
Slide(スライド)
一旦前に上がってフォーメーションの外へ出るモーション。これは反則ではないのかツッコまれそうですが、LOSへのモーションではないのでオッケー。ZのPost、HBのWheelなんかを走らせればHBをカバーするLBとのミスマッチがつくりだせる。
モーションの役割
代表的なモーションをいくつか紹介しましたが、果たしてモーションによって得られるメリットはなんなのか?種類の紹介でもちょこっと紹介しましたが改めて紹介します。大きく分けて以下の3つがあります。
まず、Momentumはよく使われるゲームの流れ的な意味ではなく、勢いのこと。例えばJet Sweepなんかはまさにその典型です。勢いにのった状態からボールを受けることでディフェンスは対応できません。49ersのDeebo Samuel(ディーボ・サミュエル)に渡すと手がつけられません。また、JetモーションからのWheelルートもハンパない。Glideで紹介したクラックブロックも同じような役割です。
Deceptionは欺きとかそういう意味の言葉です。Returnモーションでも紹介したようにディフェンスを混乱させることができます。
Leverageは以前にも説明した記憶がありますが、位置関係のこと。要は有利な位置関係をつくりだせるのです。Overモーションでパスプロのヘルプ要因に使えると言いました。エッジラッシャーをOT 1人に任せるよりTEをワンチェック入れるだけでもパスプロは楽になります。
あとはマンカバーとゾーンカバーを見極めるためという使い方もありますが、その使い方はイマイチに思えます。最近のNFLを観てるとFlyモーションにマッチアップするディフェンスがついてきたからといって、マンカバーとは言えないように思います。テキサンズなんかはスロットレシーバーのFlyモーションにNBが必ず引っ付きますが、Cover 2ということもざらにあります。おそらくゾーンマッチやランディフェンスのマッチアップのことを考えると体格差の少ないマッチアップにしたいのだと思います。
モーションを使ったプレイ
ここからは実際の試合で使っているモーションの用法を確認しましょう。
Jet Sweep
先ほども紹介したJet Sweepのチーフスバージョン。JetモーションしてきたMecole Hardman(ミコール・ハードマン)にHot Potate Passでそのままエンドゾーンへ。
ご覧のとおりフロントサイドのDTとDEをわざと浮かしています。これでもハードマンのスピードには追いつけない。代わりにOLはLBをブロックすることで、よりTDしやすくなっています。Andy Reid(アンディ・リード)は悪魔。
PA TE Pop
モーションが間接的に貢献したプレイです。
こちらもJetモーションです。RBへのプレイアクションですが、カンザス州立のOLBとスターSAFがモーションに引っ張られたことによりTEのルートはガラ空き!Jetモーションはスピードで持っていかれる可能性があるため、ディフェンスはかなり警戒します。まさにオフェンスはディフェンスを横に広げる狙いで、ディフェンスの裏をついてど真ん中を通してやるアジなプレイ。TCUのQB Max Duggan(マックス・ドゥーガン)は笑い止まらなかったでしょう。逆に誰もJetに食いつかなければそのままJetのレシーバーに投げれば良い。
GT Counter Swing Screen RPO
最近の流行りはOrbit Returnモーション!その中から少し紹介します。
OrbitモーションとReturnモーションを組み合わせています。モーションする選手にディフェンスがちゃんとアジャストするかどうかでランかパスかを判断します。アジャストしてボックスに入るならSwing Screen、逆ならランを選択します。これの裏プレイでブロッカー役のレシーバーがFadeとSeamルートを走るOrbit Return Motion Swing Screen fake Fadeもよくあります。
とにかくOrbit Returnモーションを使ったプレイは最近、嫌でも腐るほど見ます。Twitterとかで「Orbit Return Motion」と検索してみれば、NFLだろうがカレッジだろうが凶悪なプレイが山のように出てきます。Orbit Return Motion Double PassとかOrbit Return Motion Y CrossとかOrbit Return Motion Triple Optionとか必殺技みたな名前のプレイがいっぱい!ぜひ一度検索してみてください。
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[…] フットボール教室 – モーションのバリエーション こんにちは。 […]